すれ違った影の交錯（10）
- カテゴリ： 小説/詩
- 2018/01/10 13:09:08
明美は藤木文子を訪ねた。北野政頼が『よろず生活館』を開設していた場所から近くであった。電車が走る線路沿いにあるマンションの三階であった。チャイムを鳴らしてドアが開くと赤ん坊の泣き声がした。明美は北野政頼と別れた妻で今は実家の姓を名乗って大野明美であると説明した。藤木は警戒するような態度であった。
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ごま塩ニシン
一位入賞ですが、季節外れ。 うちわサボテンで1位となりましたが、こんな寒い冬の最中にサボテンで1位というのは季節外れのトンチンカンだ。つまり、他人が育てないようなものを育てているから1位になれたのかもしれない。順位というのは盲点ゲームかもしれない。育てる確率の少ない種を栽培することがコツと言う...
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すれ違った影の交錯（9）
- カテゴリ： 小説/詩
- 2018/01/08 18:54:39
北野政頼との離婚が決まった時、明美は政頼との生活品を、ほとんど捨て去っていた。政頼の遺伝子検査をするにしても、遺骨は兄の圭太が引き取っているので、もし実施するとすれば、何らかの政頼の遺物を探し出さなければならなかった。政頼は精子検査をどこの医療機関でしたのだろうか。もし分かったとしても個人情報にか...
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映画を久しぶりに見た。
昨日は午前中に義弟の見舞いに病院へ行った。症状は一進一退である。私の顔を見て名前を言ってくれたので記憶は蘇っている。倒れて約半年になるから、ベッド生活が長くなっている。腕や足は細くなり、筋力は減退してきている。積極的にリハビリに取り組んでくれたら、流動食や点滴生活から...
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すれ違った影の交錯（8）
- カテゴリ： 小説/詩
- 2018/01/06 16:50:49
家庭裁判所を出た大野明美と弁護士の古屋弁護士、北野政頼の兄圭太等の3人は勾配のある坂道を駅前へ向かっていた。北野圭太はさばさばした表情であった。弟の血筋から北野家の後継を模索するのは諦めざるを得ないという心情になっていた。古屋弁護士は、先輩であった故北野政頼のために貢献できることはないかと考えてい...
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