掃除が終わるとすぐに臨時の全校集会が体育館で行われた。
内容はもちろん河合有紀の死去。
校長がこの間からの通り魔事件を話し、今回の死者が出てしまったことを話す。河合さんの友人の女生徒たちは、皆すすり泣きを始めた。河合さんは登校途中に襲われ、学校から直線で約三百メートルというところで意識を失って...
もう一度…
掃除が終わるとすぐに臨時の全校集会が体育館で行われた。
内容はもちろん河合有紀の死去。
校長がこの間からの通り魔事件を話し、今回の死者が出てしまったことを話す。河合さんの友人の女生徒たちは、皆すすり泣きを始めた。河合さんは登校途中に襲われ、学校から直線で約三百メートルというところで意識を失って...
「何かあったのかな?」
隣の席の桂木が呟く。
僕は何気なく教室を見回した。僕は比較的前の席だったから気が付かなかったが、一番後ろで窓際の席の河合有紀がいない。病欠かとも思ったが昨日はすこぶる元気だった。
僕はすぐにぴんと来た。
『通り魔だ』
クラスのみんなはテストが遅れることに一喜一憂して...
「まだ通り魔は捕まってないのよ。テストのことより、学校が終わったらなるべく早く家に帰ってくるのよ」
「もうその話はいいじゃない、事件はもう三ヶ月ぐらい起きてないんだし。それに被害者はみんな女の子なんだから、男の僕は関係ないでしょ。それに叔父さんは刑事なんだよ。僕がやられたら叔父さんの恥じゃない」...
「おはよう」
「おはよう」
今日も我が真田家の朝がやってきた。
僕の父幸三は、新聞を読みながら僕の方を見ずに挨拶する。やがて母が運んできた朝食を黙々と食べていた。
食卓の中央には綺麗な桜色のコスモス。少し遅咲きのコスモスだが、母は花が好きでいつも食卓には季節の花を飾る。季節が変わるたびに...
外では雀が鳴いている。
誰もが羨む清々しい朝。
彼女は毎日正確な体内時計を刻み、いつもの通りに目を覚ます。彼女はまた新しい日が来たことに感謝し、上半身だけ起きあがらせた。
彼女はベッドの脇にある写真を手にし、ゆっくりと目を向ける。
そこには目鼻立ちのハッキリした、一見すると少女のようにも見...