時は無情にも過ぎ去り、殺人が起きてから二ヶ月が経った。十二月になり街もクリスマスの準備で忙しくなっている。
僕はサンタクロースの赤と白の衣装を見ると、今でも無性に胸が苦しくなる。なぜなら子供の頃、クリスマスプレゼントを貰ったことが無いからだ。親もケーキやツリーは用意してくれるのだが、肝心のプレゼ...
もう一度…
時は無情にも過ぎ去り、殺人が起きてから二ヶ月が経った。十二月になり街もクリスマスの準備で忙しくなっている。
僕はサンタクロースの赤と白の衣装を見ると、今でも無性に胸が苦しくなる。なぜなら子供の頃、クリスマスプレゼントを貰ったことが無いからだ。親もケーキやツリーは用意してくれるのだが、肝心のプレゼ...
季節は移り変わり、秋から冬へ。 雪がちらつき始めた頃には彼女の怒りも鎮まり、平穏な日々を過ごしていた。
薄く這うように積もった雪は、シルクを引いたように汚いものを覆い隠している。白いシルクは微かな太陽の光を反射させ、彼女の網膜にゆっくりと吸収される。
真っ赤な色を発していた瞳は、その白い光で潤...
やっぱり何かがあった様子。深呼吸の後、仙道君は声を出した。
「…1度だけ…あった…」
僕の考えでは、仙道君に好意を持ち告白した女性をストーカーが襲うというものだ。これが一連の犯行の流れなら、必ず仙道君は告白されているはずだ。
「その何かって言うのは、告...
あれから2週間が経った。テレビのニュースで見る限り、捜査の進展はなさそうだ。学校では通常通りに授業を受けている。
僕は苛立っていた。正解に1歩近づいたはずなのに…自分の無力さといっこうに犯人を検挙できない警察に、僕は苛立っていた。
あれから着実に推理を巡らせていた。そして、少し犯...
事件から二日が経ち、僕たちのクラスは河合さんのお葬式に行くこととなった。葬儀場はたくさんの紅葉の木に囲まれている、だいぶ散ってはいるが濃い赤が映えて綺麗だ。葬儀場が、こんなに情緒あるところだとは知らなかった。この雰囲気で、ご遺族の方を少しでも癒そうとしているのだろう。
しかし、その情緒に似合わな...