君への忘れ物 外伝
- カテゴリ:自作小説
- 2010/01/11 02:46:05
20年戦争…それが後の歴史家が付けた名だ。
国境線を挟んだ村同士の喧嘩は、報復が報復を呼び、やがては王国VS連合国の戦いに発展した。
開戦当時、最も激戦区となると思われたのがアムネジアであった。
王国の玄関口であり、交通の要地。
連合国としては、ここに橋頭堡を築くことが、悲願であった。
無論、王国側も、そのことは重々承知しており、精鋭中の精鋭、赤獅子師団をここに配置する。
もともと、天然の要害であることに加えて、赤獅子師団。連合国は数度手合わせした時点で完全に手詰まりになる。
それからは睨み合い。その状態が続くと、次第に牧歌的な雰囲気になっていく。
開戦から19年目、すっかり前線とは、思えない雰囲気のアムネジアに配属されてきたのがラーアルとフィリユーレ(フィル)であった。
同じく、前線の取材に来ていたサラと知り合い。3人はよくつるんでいた。
そんな中、疲弊しきった両陣営は、秘密裏に終戦協定を結ぼうとしていた。
終戦協定が、ほぼ決まりかけた最中、動き出す国が連合国にあった。
エルラン将軍は、自国兵1500のみで、アムネジアを陥落させることを宣言。
成功すれば、戦後交渉が有利になる。失敗すればエルランに腹を切らせればよい。
どちらにしても、自国にはデメリットがないと踏んだ連合国は、この申し出にGOサインをだした。
およそ勝ち目がない自爆だろう。そうタカを括っていた上層部の予想と異なり
このエルランの策は的中してしまう。1500の兵士は、易々と堅牢なアムネジアを突破していく。
これに焦った、アメネジア方面総司令ホラーショは全軍に総攻撃を伝令した。
こうして20年戦争、最大最悪の戦いは、泥沼に飲み込まれていった。
12月24日 のことである・・・。
そしてフィルが最後にラアールを見たのも、この日だった。
12月23日 深夜
「休暇はどうだった?ラーアル」
フィルは同郷の友人に尋ねた。
「まあまあかな、だが必殺のウェポンを手に入れてきたぜ」
「武器? そんなもんここいらには腐るほど転がってるだろ?」
フィルのとんちんかんな物言いに俺は、笑いながら
「そうそう、使える武器じゃない。出来れば一撃必殺と行きたいね」
そういい残し、書類の束に囲まれたフィルに背を向け、自室へと向かった。
自室の机の上に故郷で買って来た小さな包みを乗せた。
「いよいよ明日だな」
故郷で、買ってきたのはリング。もちろんただのリングではない。
使われている石は、ターコイズ又の名をトルコ石12月の誕生石だ。
12月はサラの誕生日、誕生日プレゼント、そしてプロポーズのつもりでこの指輪を渡そう。
「上手く、いくよな」
天井に、そうつぶやくと目を閉じて、寝入ってしまった。
12月24日
その日の目覚めは、いつもと違った。
サイレンは、けたたましく喚きちらし、空気もピリピリしていた。
エルランの一群は、夜明けを待って、アムネジアへと奇襲を掛けたらしかった。
その動きに、呼応するように、全軍がアムネジアに、突撃するようだ。
いよいよ、出陣。そんな時、俺に近づいてくる影があった。
そしてその影には、見覚えがあった。
「よう、フィル!」
「死ぬなよ、ラーアル」
「お前は、後方支援か後ろは任せたぜ」
「ああ、任せておけ」
短いやり取りを終え、先に進もうとしたが手に付いた箱をフィルに預けることにした。
「フィル、これを預かっていてくれ戦場で無くしたら大変だ」
「これは?」
「ああ、サラへのプレゼントなんだ、アイツ明日が誕生日だろ?」
「そうだな」
「それに、それでプロポーズするつもりなんだ」
「え?」
「じゃあ頼んだぜ」
上官に急かされ、歩みを速め隊に追いつく
フィルが何か言っていたようだが、雑音にかき消されて聞き取ることは出来なかった。
その後、アムネジアのポイントA-10は光に包まれラーアルを含め、ほとんどの人間は消失してしまった。
アムネジアは封竜の地といわれ、ラストドラゴンバスターが最後の邪竜封じた地であったともいわれ、そのことで、様々な憶測を呼んでいるようだ。
フィルには、自分もサラのことが好きだったという思いもありました。
自分の想い、ラーアルの想い、そして託された指輪・・・。
奇跡のヒントはずばりトルコです。
フィルは ラアールの想いと 指輪をずっと抱えたまま
10年間どんな気持ちでいたのかな。。。って思いました。
3人それぞれの 想いはあるでしょうが
指輪が届いて よかったなと 私は思います^^
男が女にベタ惚れかぁ~難しそうですねぇ
機会があったらチャレンジしてみますね。
ラーアルって名前、書いてありましたか?
すっかり忘れて読んでました~
私はベタベタの甘々が大好きです。
特に、男が女にベタ惚れのやつ!!
これって自分の願望が入ってますかね?(笑)
そんなベタが好みだったんですか!?ってラーアルからって書いてあったような気がしますがw
次回作は、もうちょっとアマアマな話にしましょうか。どんなのがいいですかねぇ
フィルからの指輪では無かったんですか?!
なんだかショックなんですけど(笑)
そうだったのですwこういう話だったんですね~
なんとなく読んでいただけたら幸いです
さすがですね~そうですフィルもサラに好意を寄せていました。それゆえサラにリングを渡すことが出来ませんでした。
その辺の苦悩とかを交えた。フィリユーレ編も書こうかと思いましたが、蛇足になりそうなんで辞めておきます。
書いてみました。星を盗む男 とも共有の世界観です。
楽しんでいただけたら幸いです。
ほほぉ~そういう流れだったのですね~^^
ただ(4)でのサラの言葉だと、2人とも好意があったととれなくもないかなあ…。
なるうほどね~^^