タンダの食卓w
- カテゴリ:グルメ
- 2010/01/10 23:41:42
カテゴリは、小説/詩寄りか? と迷ったけれど、今までと同じく食べ物一般は一応グルメで。グルメと名乗るよなモン食べてるか? とは思うけど。
いつぞや「作るぞ~」と宣言していた鍋をやっと作った。
アレです、レシピ本『バルサの食卓』にのってた「タンダの山菜鍋」。
「タンダの山菜鍋」の名を挙げたら「おぉ~」っとなる人には必要ないけれど、知らない人のため、ちょっと説明。
文化人類学者でもある作家、上橋菜穂子作の〈守り人〉シリーズというファンタジィがある。
日本の作家の作品らしく、西洋的でない場所(米を作って箸で食べているような)を主な舞台としていて、作者の専門分野の影響もあってか、別世界の生活の様子が手触りを感じさせるように書かれている。
時にラノベ寄りになったりしつつ、戦争や人の暗い部分も児童書の許容範囲(というか娯楽を求めて読む子どもたちがヒかない線)で頑張って描いた和製ファンタジィの佳作だと思う。
作中に登場する食事で、もっとも印象的、かつおいしそうなのは多分、この「タンダの山菜鍋」だろう。
主人公バルサの幼なじみで薬草師のタンダが作る鍋が、心まで暖まりそうで、しみじみとおいしそうだったりする。
で、その〈守り人〉シリーズやほか同じ作者の作品に出てくる食べ物を現代日本で手に入るもので作ってみたレシピ本があるのだが、そのなかの「タンダの山菜鍋」を作って、で、いただいた。
ちなみに、味噌仕立ての方。
豚のスペアリブをコトコト煮込んで、そのダシと味噌で大量の野菜と(あと仕方なく水煮の)タケノコと山菜、仕上げのタレとキノコを入れて出来上がり。
レシピどおりだと野菜が大量すぎて鍋に入りきらなかったので、「火を止める前」指定の物入れたあとも再度野菜とキノコ入れて煮込みまくったけど。
出てきたキノコ「カンクイ」の自分的イメージだったヤマブシタケはなかったし、実はこのレシピで使う白菜以外の青菜が高価になりすぎてて、ブツッときたのがこの「タンダ鍋」開催のきっかけだったりする。
自分でもそれはどうよと思うけど。
結論。おいしかったです。
ただすこし、味のピントがボヤケ気味になった気も。
これは大部分料理人の技量によるものだろうorz(上記煮込みまくりとか)
これであと、肉は本当は豚でなくバルサが捕った猪だろうとか、場合によっては塩漬け保存かもとか、妄想力たくましくしつつ食べていた。
お肉の量はすくなめでしっかりお腹一杯、というなんというか生活感を感じる部分もあった(町場で材料をそろえると、案外金額がかかるけど)。
レシピになかったうどんを煮込んで仕上げにした。
読者の冗談でよく、「タンダを奥さんに欲しい」「主夫」等々いわれる。
バルサとタンダはべつに、役割逆転した関係というわけではないだろう。
(そも、バルサやタンダ、タンダの師匠である呪術師トロガイらは村落共同体から「外れた」存在で、性別役割分業なぞを気にする固い頭でやっていけない)
バルサは用心棒をなりわいとし、理不尽な運命への反発をかかえ(本人曰く『羽を逆立てて、意味のない戦いを続ける、闘鶏と同じ』)、ときとして戦わずにいられない。
そんなバルサを案じながらも、理解して見守るタンダの存在は実に大きい。
(アニメのタンダはそのあたりすこし気弱で頼りない)
腕っ節の強さばかりが強さじゃないよなー、と考えさせられる。
……そんなことウダウダ言葉にしなくても、ひととき故郷に戻って過去と対峙したバルサが懐かしんだのが、単に鍋の味じゃないのは明白だけど、ね~。
料理自体はそれほど特別なものじゃないんですよね〜
上橋さんの作品が好きなので、半ばエッセイを読むのに、半ばご祝儀っぽい気持ちで本を購入してしまいました。
今度レシピをちゃんと記憶して作ってみようかな(o^∇^o)
守り人の文庫版と同じく新潮文庫です。
メニュー再現チームに元南極越冬隊の料理人さんがいるというのもポイントです。
(厳しい環境での食事は数少ない楽しみなので、抜群に腕が良くバイタリティあふれる料理人が抜擢されるそうなので)
守り人のレシピ本知りませんでした
タンダの山菜鍋作れるのもなんですね
おいしそうだな~
『バルサの食卓』今度探してみます^^
おいしかったです!
タンダの、たとえ心配でも理解しているからこそ止めずに見守るっていうのは、すさまじく辛いと思うんです。
そういう種類の勁さって、もっと評価されてもいいのでは、と思います。
泰山娘娘さん
上橋菜穂子さんのファンなら面白く読める内容かと。
猪は別に田舎のみにいるわけではありませんよ〜w
実家のある神戸は政令指定都市ですが、猪の親子連れと道で行き合ったことがあります。
いや、もう驚きました。
ほんとに、彼女の作品には美味しそうな食べ物がたくさん出てきますよねー。
旦那の実家で、猪の肉が常備してあるんですが(田舎だからw)、義母の作る鍋が
その猪肉と自分の家で採れた野菜満載でとても雰囲気似てると思いました。
タンダとバルサ、お互いに足りないところを必要なところを補い合う関係が羨ましいですよね
性別とかでなく、やっぱり人間として対峙しているからこそできている絆なのかな?