君への忘れ物 (3)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/12/24 21:28:46
「そう悲観することもないさ、まだやれる事は残っている」
「え?」
「アンジェズジュエリーの線は、まだ残っているだろ」
「でもさっきの店員は、知らないって」
「もしかしたら、店名が変わっているのかもしれない」
「まさか、宝石店をしらみつぶしに当たっていくつもり?」
「ああ、思い当たる方法は、それしかないな」
「何軒あるの?」
「さあな、ただ店ごとに、さらに古い店を紹介してもらえば案外あっさり見つかるかもしれない」
「そんなに、上手くいくかしら…」
「俺が、やっておくよ。サラは先に帰っていいぜ」
「ううん…。最後のクリスマスプレゼントだもの。彼のね」
古い店を訪ねて4件目。そろそろビンゴと行きたい所だ。
オシャレな外観のこの店とは、やや不釣合いな中年女性が奥から出てきた。
「いらっしゃい、ってお客じゃ無さそうね」
「ええ、少しお店を探してるんです」
「なんて名前の、お店かしら?」
店のオーナーの女性は、暇なのか嬉々として話に乗ってきた
「アンジェです。アンジェズジュリー」
「アンジェねぇ…。聞いたことないねぇ」
「今は、店の名前が変わったりしてるかもしれないんですけど」
「ウチはここいらじゃ一番の老舗なんですけどね、今はこんな景気でしょ?潰れては、オープンを繰り返してのサイクルも早いからね」
「そうですね」
「昔のことなら、先代がいればわかるかもしれないけどね」
「先代は、今どちらへ?」
「天国にいけるタイプじゃないから、地獄じゃないかしら、アハハハ」
「…。ここより古い貴金属店ってありますかね?」
「う~ん。ないと思う。 ウチが一番の古株だわね」
女主人はすまなそうな顔をしたが、すぐに
「今日はクリスマスよ、彼女にリングでもプレゼントしない?」
まったく商魂たくましい…。
「コーヒーでいい?」
「ああ」
サラは自販機でコーヒを買うと1本投げてよこした。
2人並んでベンチに腰掛けると、缶のプルタブを押し開けた。
(プシュ)
2つの音が静寂に飲まれ消えていった。
「完全に手詰まりだよね」
「そうだな」
「頭に来てるんじゃない? なんで私のワガママに付き合わされてサブドゥアまで、ひっぱり出されて、途方にくれて寒空の下で缶コーヒーなんか飲まなきゃならないんだって」
「そんなことは、ないぞ」
「そう?」
「ああ」
「ならいいけど…。でも終わりにしましょうか? きっとずいぶん昔に潰れてしまったのよ」
「だとしても、なぜ今頃、このタイミングで指輪が届いたんだ?」
「う~ん…」
2人で、空とにらめっこをしていると、先ほどの店の女主人が駆け寄ってきた。
「あぁ居た居た」
「どうしました?」
「わかったのよアンジェのことが」
「えええ?」
俺とサラは顔を見合わせてビックリした。
「どうやら、10年ほど前に潰れみたいね」
俺は、恐る恐る聞いてみた。
「地獄の先代に聞いてみたのか?」
「アハハハ、な訳ないでしょ! なじみの宝石商をいくつか当たってみたら知っている人がいたのよ」
「それで?」
「夫婦揃って、事故死。一人娘は田舎の親戚に引き取られたみたい」
「引き取られた先は?」
「わからないみたいね」
「完全に途切れたな」
「みたいね…」
サラが残念そうな声を上げると、意外な所から声が掛かった。
影が一つ、こちらへ近づいてきた。
声の感じからは、中年男性。
女主人の知り合いらしいその男は、立ち話を始めた。
「フィリユーレの段取りは粗方終わったよ」
「そうご苦労様」
「アムネジア帰りの勇士様も事故には勝てなかったな」
「あんないい男が、ずっと独身だったなんてね、身寄りもないし」
そんな言葉が、漏れてくる。
けれど、俺たちには関係がないことだった。
ここには、もう用はない背を向けて歩き出そうとしたが、サラはそこを動こうとしなかった。
「…フィリユーレ?」
サラは、2人の間に割ってはいると、
「その話、詳しく教えて頂戴!」
とまくし立てた。
2人の話をまとめるとこんな感じだ。
フィリユーレは、アムネジア攻防戦に参加しながら、A-10消失事件に巻き込まれなかった数少ない人物であり。故郷サブドゥアに帰ってきてからは、電気工事の仕事をしていたらしい。生涯独身で、この12月20日に事故に遭い23日未明ごろ帰らぬ人となった。
サラもラーアルもアムネジア戦に参加している。
フィリユーレとも面識があっても不思議ではないと思った。
実は、人気の女主人!でも、2度と登場することは、なさそうですねぇ
上手く、なぞが解けるかどうかは、あなたしだいです!
謎が解けたらいいなぁ~^^
古い宝石店の女主人が ひそかにいい味出してますね✿
う~ん。書いてみちゃったら寄って来るかもしれませんよ!
来年あたり是非、壮大な連続小説を期待しています。
すごくはないんですが。素直に小躍りしておきますね。
もし機会が合ったら、昔の作品も読んで頂けたら嬉しいです。
A-10消失事件は、いずれ機会があったら書いて見たいですね。
ちょっぴりユーモアは細かく入れたいですw
さてさて、どうなるのか?予告どおり25日で終わりです。
ただ、非常にわかりにくい終わり方にしちゃったので・・・。
ちなみに私の周りには、一人も小説書きは居ませんね(笑)
私も書くの好きなのに変だな~
「地獄の先代に聞いてみたのか?」がちょいツボです^^
A-10消失事件がわからなかったので今頃下のほうを見直しました(遅;)。
続きが気になりますねー…。
続きを楽しみにしてます((´∀`*)/
素敵なクリスマスをノ´▽`*)ノ.:。+゜。☆
そんなに、大層なモノでもないんですけどね~w
本好きな人のところにはそういう友達が集まるのかもしれませんね。
ってか、うちの周りの人ほぼ全員小説書いてるような・・・