一番の楽しみはモノガタリ。
なんだけど最近あまり本が読めない、ノれない、面白く感じられない、というのは先日もつい書いてしまった通り。
映像でかたられる物語についても同様で、あまり見てない。
映画は――重い腰上げて出かける気になれないし、ドラマは頓狂な題材を丁寧に作ってくれることは少ないのでもともとちょっと敬遠気味（題材やストーリーより役者さんを見せるためみたいな、ワカモノ向きが多いし、ね）
アニメも、秋からまともに見ているのは『空中ブランコ』『戦う司書』の二本、あとは『青い文学』の中の「桜の森の満開の下」くらいだったりする。
どれも小説原作なあたり、『アニメーション』というものへの興味まで落ちてるな～、と微妙な気分。
いい年してそれだけ見てれば充分だろ、と突っ込まれるかも知れないが。

「桜の森の満開の下」は、わざわざそれだけ見ているくらい原作が特別だったりするので、どうしても文句が出る。
原作関係ないなら、丁寧で、結構面白い。
だけど原作厨と言わば言え、原作の解釈（特に最終シーン）について言いたいことがかなりある。勘弁してください。

『空中ブランコ』、凝りまくった演出を「独りよがり」だと一話で視聴を止めた人も多いらしい。
でも、一話こそやや空回り気味だったけど、その演出が徐々にはまってきた。
すべての話が実は同時進行していて、所々リンクする部分もあって、かなり面白い。
個人的なお気に入りは第五話「義父のアレ」と第十話「オーナー」。
毎回見終えてすこし気持ちが軽くなる、ちょっといい作品だと思う。


で。原作が好きで、期待半分・不安半分で待っていた『戦う司書』
惜しいと思う部分も多いけど、わりといい出来だと思う。

なのに、評判があまりおもわしくない。
見てる人が少ないのは、地上波がないから仕方ない（配信があるんだが）
ただ、ざらっとネットで評判を探してみると、え?　と思うような感想をよく見た。
曰く「話がよくわからない」
好きじゃない、嫌い、というならわからなくない（残念だけど）
明るい話じゃないし、人死にも多い。
原作からして結構アラはあるけど、好きな人にはそれ以上の魅力がある、という作品なので、好みじゃない人もいるだろう。

でもわからない?　いったい何が?　なんで?

「死者の魂が本になる世界って、意味わからん」って……そういう異世界だよ。
「主人公が誰だかわからん」って……群像劇で原作一冊分ごとに中心になる人物は代わるよ、好きな人物に思い入れりゃいい。

いや、実際「わかり易い」話ではない。
一話完結ではないし、回想や死者の記憶（要は過去）が交錯し、伏線がばらまかれる。
わたしは原作読了しているので、凄い勢いで原作補正がかかってはいるだろう。
でも、すぐ疑問なく明瞭になる話って面白いだろうか?
映像向きではない部分があるのは認める。
そも『戦う司書』は、原作から凝った構成と意外な展開持ち味だ。
すぐに話が見えないという不満は、たとえるならミステリで冒頭から犯人とその犯行手法、動機がわからないのが不服だ、と言っているようなものだ。
ミステリ物と同じく、伏線を見逃さない程度には見てないとわからなくはなるだろう。
後への前フリこそ消化されず残るが、原作一冊分相当のエピソードごとに話に一応の決着がつく。
逆に言えばそこまでは疑問が積み重なるが、謎や伏線が回収されて立ち上がる物語は胸にジンと来る。
実にもったいない。

とはいえ、不満や不安がないでもない。
中心的人物、ハミュッツがやたら悪役的側面ばかりクローズアップされているとか（いや、超好戦的で冷徹ではあるのだけど）、時々動画枚数足りてないな～とか、
心理描写はやっぱり減るな～とか。
けど、時々混じるオリジナル部分も含め、作品に愛情を持って扱っているように思う。
不安なのはこの先のこと。
ここまで不満はあっても今まではなんちゅうか「わかってる」と思えるのにこんなこと言うのは申し訳ないけど、でも、製作が「あの」GONZO（……逝風邪）から分かれたスタジオなので、終盤オリジナル展開で「やらかして」しまわないかとちょっと不安になる。
原作は全十巻、アニメは二クールでほぼ一クール消化したというのに、今まだ原作三巻（＋後の巻にある前フリ部分）までしか進んでいない。
キリのいいところで「俺たちの戦いはこれからだ」になると思っていたのに、終盤の重要人物のキャストが発表されたので、ちょっと驚いている。
最後までやるとしか思えないけど……どうする気だろう?

ともあれ、原作読者で視聴者としては、とりあえず原作最終巻を待つばかり。
いい意味で驚くようなアニメになって欲しいと祈ってる。

原作一冊分にあたるエピソードくらいづつまとめて見るとわかり易い・面白いのじゃないかな～と思う。
バンダイチャンネルで現在（１２月２１日～１月１２日の間）、今まで放映した全話を無料配信してるので、興味がある方は、ぜひ。