■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(20)
- カテゴリ:その他
- 2009/12/11 00:01:29
■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|三 (2)
吾人は論の煩瑣を避けるため茲に或度以上の論據を假定して、審美的主客觀ともいふべきものを極ざつと取り出して見んに、論の順序として先づ心理的主客觀から出立する。即ち吾人の意識内に於いて知的現象は(判斷までを含めて)凡て客觀であるとし、情意的現象は凡て主觀であると假定する。此の以上はこゝでは説かない。而して斯くの如く客觀が我等の意識内に生起したとき、之れに主觀の情意が反應作用を呈する状態に凡そ三段若しくは四段の境地があり得る。
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*註1:吾人は論の煩瑣を
原本ではこの文頭は前ページの文末より改行なしでつづいている。
*註2:煩瑣を避ける
「避」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註3:茲に或度以上の
「茲」の俗字体か(?)。Unicode にも文字種がないようなので作字してみた。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/koko.jpg
*註4:意識内に於いて・我等の意識内に
「識」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/shiki.jpg
「内」の旧字体。「冂(=エンガマエ)」+「入」。
*註5:判斷までを含めて
「判」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/han_wakaru.jpg
*註6:情意的現象・主觀の情意
「情」の正字体。「月」は「円」。
*註7:こゝでは説かない
「説」の旧字体。旁は「兌」。
*註8:生起したとき
「起」の正字体。旁の「己」が「巳」。
*註9:呈する状態
「呈」の旧字体。「口」+「壬」。
「状」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/jyou.jpg
*註10:境地があり得る
「境」の正字体。
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