僕の戦闘機は、洋上ひとりで航行していた。
母艦が沈没してしまったため、１０００キロ先の島にある基地を目指していたのである。
敵に発見されないよう、また燃料を節約するため、空気抵抗の小さい上空高く飛んでいた。
しかし、不運にも敵戦闘機２機に発見されてしまったのだ。

あっという間に敵機は僕の後ろにつき、機銃を放ってきた。
バババババババーーーーーァ！
僕はポジッションを、必死で敵の軸からずらす。
左か右へ旋回をしようとしたが、僕は敵機に挟まれてしまっている・・・・逃げられない。
僕は操縦カンを倒し、急降下を始めた。
グウィーーーーン！グォォォォォオーーーーー！

敵に対して下方になることは目標になりやすいので常とう手段でないが、僕は敢えて行った。
この状況で敵から逃れるのは、その方法しかなかったのだ。
敵機も、降下中は、時速約５００ｋｍで降下する機体へ照準をとることはできないだろう。

さらに、敵も追って降下してきた。敵が機首をあげた瞬間、僕はふたたび上昇し、宙返りをした。

「しめた！」
敵機のうしろについた。
僕は　２０ミリ機銃を発射する。バババババババーーーーバァー・・・・・・・
一発で、敵機は、オレンジ色の炎をあげ、海へと落ちて行った。

その束の間、もう一機の敵からの攻撃を受けた。
僕の機は、操縦席に被弾し、操縦席の中に炎があがった。
「熱い！　熱いよー！　なんとかしなければ・・・死ぬぅぅぅぅぅぅ～！」

僕の祖父は戦闘機に乗って戦死した・・・・・・・僕も同じ運命を辿るのかぁ！名誉の戦死かよぉ！
いやっ！、こんなところで、しかも一人ぼっちで死ぬわけにはいかない。
そもそも、今は時代が違うのだ。祖国のために死ぬなんて、そんな馬鹿なことがあるのかぁ！
そうだ！　まず風防（操縦席の窓）を開けなければ・・・・僕は必死になって風防を開けた。
「ガバッ！」

涼しい空気が流れてきた。やっと熱さから解放され、静かになった。
敵機もいなくなり、窓の外は青い空が広がっていた・・・
「助かった！」

＊　＊　＊

ここで、「ガバッ！」と開いたものは、布団だった・・・・

「おぉ　夢だったのか」
僕は　全身汗びっしょりになっていた・・・・インフルエンザと闘っていたのだった。

＊　＊　＊

ご心配をおかけしました。ミッションに戻れてよかったです。
やさしい言葉をかけていただき、本当に心に浸みました。ありがとうございました。