もみじ~きみがくれたもの~(第3話)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/11/21 01:23:21
部活を終えて帰る途中、学校の近くの公園でもみじを見つけた。公園は家からも近いから、いても不思議ではなかった。
「あれ?もみじ。今日はここで遊んでいたの?」
明日香はもみじと一緒に家へ帰った。
「おかえりなさいませ。あらっ、今日はもみじちゃんとご一緒で?」
「さっき公園にいたもんで」
その夜、またあの少女と夢で会った。
「お姉ちゃんすごいね!今日いじめられていたお友達を助けてたね!」
「え?どうしてそのこと・・・・・・」
「でも・・・・・・、今度はお姉ちゃんがいじめられたりしないかなぁ?」
「あぁ、私なら大丈夫だ。でも、どうしてそんなに私のこと心配しているんだ?」
「だって、お姉ちゃんはあたしの大事な友達だもん!」
「友・・・・・・達・・・・・・?」
「うん!」
そう言って少女は満面の笑みを浮かべた。と、その瞬間に目が覚めてしまった。
「一体、何者なんだ?あの子・・・・・・」
それからというもの、あの少女のことが頭から離れなくなった。
あの少女は何者なのか、なぜ自分のことを知っているのか。
それに、いつ、どんなときに夢に現れるのかもわからない。2日連続で現れたかと思ったら、数日間現れなくなって、また現れたり。聞きたいと思っているのに、夢の中では聞くことを忘れたり、聞こうとする前に目が覚めてしまう。
気になってしょうがない。
「もみじ、あの子一体何者だと思う?」
毎日もみじに語りかける中で、そんなことも何度か言っていた。
あの少女と夢で会ってから、明日香の周りの環境に少しずつ変化が現れた。
父は前のように剣道について文句を言わなくなったし、会話をすることも前より少しだけ多くなった。
以前は必要以上に話していなかった豊子とも、少しずつ会話をするようになった。
学校でも、少しだけだが、人と話すようになった。
カツアゲの件があってから、あの3人が他の仲間と何度か突っ掛かって来た。けれど明日香はそれに屈しなかったし、桃子が何度か助けてくれた。その3人もそんなこんなで諦めた。このことで桃子とはぐっと親しくなった。
剣道の地区大会の前日、父と豊子の3人で夕食を食べながら、大会について話した。地区大会は学校の体育館で行うことになっていた。
「まあ、せいぜい悔いの残らないようにな」
「はい」
「私は応援には行けませんが、お嬢様が優勝できますよう、家で祈っております」
「ありがとう、豊子さん」
夕食の後、仏壇にある母の遺影に向かって手を合わせた。
「お母さん、明日は地区大会だ。私がんばるから、応援してね」
夜、久々にあの少女が夢に現れた。明日香は今日こそ聞こうと思った。
「ねぇ、前からずっと聞きたかったんだけど、君は一体何者なんだ?何で私のことを知っているんだ?」
すると少女は少し考え込んでから、明日香の両手を握って言った。
「じゃあね、お姉ちゃんが明日の大会でがんばってくれたら、あたしのこと教えてあげる」
「え?」
「あたし、応援に行くからね!」
「う~ん、わかった。私がんばるから。約束だよ」
明日香と少女は指切りをして約束を交わした。
また楽しみにしてきます~♪
続きが気になります。