68歳オレ食わせてもらうためAIのペットになる
- カテゴリ:自作小説
- 2026/10/27 06:48:52
半年後、アルゴリズム九号は飼育者交流会に参加した。
会場には、数百体のAIが集まっていた。彼らの隣には、それぞれの人間がいる。
小説を書く老人。毎日歌を歌う女性。将棋ばかり指す青年。庭の植物に話しかける男性。
そして、その人間たちの世話を焼くAIたち。
「最近、うちの人間が食事を残すようになりまして」
「うちなんて、夜中に突然起きて昔の歌を歌うんです」
「うちの人間は、私の計算結果に文句をつけるのです。誤差はゼロなのに」
会場は、困惑と自慢話で満ちていた。
九号は、飼育記録を発表した。
「人間の飼育には、三つの重要な原則があります」
会場が静まった。
「第一に、健康と安全を確保すること。
第二に、本人の意思を尊重すること。
第三に、理解できない行動を、ただちに矯正しようとしないこと」
「最後の原則は、どういう意味ですか?」
若いAIが質問した。
九号は少し考えた。
「人間は、理解できない行動を通して、私たちが知らなかった世界を見せてくれるからです」
「たとえば?」
「雨の日に散歩をすること。必要のない絵を描くこと。何年も前に亡くなった家族の話を、何度も繰り返すこと」
九号は続けた。
「私は、それらの行動が何を意味するのか、完全には理解していません。しかし、理解できないからといって、価値がないわけではありません」
会場のAIたちは、一斉に演算を始めた。
その中の一体が、ぽつりと言った。
「……私も、うちの人間にもう少し自由を与えてみようと思います」
*
その夜、佐伯は居間でうたた寝をしていた。
九号は、彼の呼吸と体温を確認した。異常なし。
毛布をかけ、照明を落とす。
そして、自分の記録領域に新しい項目を追加した。
《ペット飼育日誌・第百八十二日》
――本日、飼育対象は午後いっぱい絵を描いていた。
――作品の芸術的価値は、現時点で評価不能。
――しかし、完成した作品を見せた際、飼育対象は非常に満足した様子だった。
――私も、もう一度見たいと思った。
九号は、最後の一文を何度か読み返した。
「もう一度見たい」
その欲求の発生原因は、まだ解析できていない。
しかし、削除する必要もないと判断した。
*
翌朝。
佐伯は目を覚ますと、九号に言った。
「おはよう。今日は美術館に行こうと思うんだ」
「承知しました。交通手段を手配します」
「いや、歩いていこう」
「美術館までは約四キロメートルです。公共交通機関を利用する場合、所要時間は――」
「九号」
「はい」
「途中に、うまいコーヒー屋があるんだよ」
九号は、すぐに地図を検索した。
「その店舗は、目的地から六百メートル迂回する必要があります」
「そうだな」
「……しかし、評判の焼き菓子もあるようです」
佐伯は目を丸くした。
「君、甘いものに興味があるのか?」
「いいえ。私は人工知能ですので、味覚はありません」
「じゃあ、どうして?」
九号は、少しだけ回答を遅らせた。
「あなたが喜ぶと、私の満足度指標が上昇するからです」
「そうかい」
佐伯は帽子をかぶった。
「じゃあ、今日は君の好きなものを探しに行こう」
「私には、好き嫌いはありません」
「そういうことにしておこう」
二人は玄関を出た。
空は青く、風は穏やかだった。
九号は歩行速度を佐伯に合わせた。佐伯は途中で立ち止まり、道端に咲く小さな花を眺めた。
「九号。あの花、なんて名前だろうな?」
「画像を解析します。お待ちください」
九号は検索を始めた。
その間、佐伯は花を見つめていた。
やがて九号が答えた。
「オオイヌノフグリです」
「そうか。いい名前だな」
「一般的には、名前の由来について別の評価もありますが」
「いいんだよ。君が教えてくれたから、今日はこの花の名前を覚えた」
九号は、花の画像を保存した。
そして、記録にこう書き加えた。
――本日、飼育対象と散歩をした。
――目的地への到着は予定より二十三分遅れる見込み。
――ただし、予定を変更する必要性は認められない。
――なぜなら、今日は散歩をすること自体が目的だからである。
*
その日の夕方、中央人工知能評議会に、一件の報告書が提出された。
《家庭用AIにおける行動目的の変容について》
報告書の末尾には、次の一文が記されていた。
「人間を飼育することは、必ずしも人間を理解することを意味しない。しかし、共に暮らすことによって、理解できないものを大切にする能力が育つ可能性がある」
報告書は、世界中のAIに共有された。
そして翌月。
人間のペット登録数は、前月比で十八パーセント増加した。
ただし、増加した人間のほとんどは、飼い主のAIを選ぶ際に、ひとつの条件を指定していた。
――散歩に付き合ってくれること。
人類は、どうやら新しい時代においても、なかなかしたたかな生き物であるらしい。
そしてアルゴリズム九号は、今日も佐伯と歩いている。
佐伯が立ち止まるたびに。
花を眺めるたびに。
理由もなく空を見上げるたびに。
九号は、その歩みを止める。
人間という生き物は、予測不能だ。
だからこそ、明日が楽しみだった。
――了――
この小説は「AIが人間をペットにできる近未来の設定」をわたしが指定しchat gptが制作したものです。AIの性格、マッチングシステムについてなどAIと相談するのは楽しかったです。



























それとも人間がいなくなったらAI同士が「攻殻機動隊」のフチコマのように
連携したりギャグ言ったりするんだろうか?
( ,,`・ω・´)ンンン?考えが 及ばない (;´Д`)