Nicotto Town ニコッとタウン

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高原のオルゴール

草の枯れた ひろい高原のまんなかで
わたしはひとり ちひさな玩具(おもちや)をまはしてゐる……
からからと乾いた風が吹きすぎてゆくなかに
かすかにこぼれる うす青い硝子(がらす)の音色
(おまへは 古い時計のやうに
 もう戻らない時間を ひとり刻んでゐる)
見渡すかぎりの あれた野辺のむかう
ちぎれた雲が 夕映えのなかに消えてゆき
かつてここにあつた リラの花や小鳥のさへづりを
この寒々とした大地は すつかり忘れてゐる
ただ ねぢを巻きなおしたオルゴールが
つめたい風に抗(あらが)ふやうに鳴りひびき
わたしの心に そつと呼びさますものは——
むかし誰かと聴いた なつかしいやさしい歌の記憶だ。

#日記広場:小説/詩




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