Nicotto Town ニコッとタウン

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パステルの哀歌

薄紅色の 夕映えがひそかに褪せてゆく
荒涼とした高原の そのうす青い陰(かげ)のなか
わたしはひとり ちひさなネジをまはしてゐる……
風にちぎれる 硝子(がらす)のやうな音色のために
(おまへは 淡いパステル画のやうだ
 こすればすぐに 消えてしまふほどのはかなさで)
遠い地平の ヒヤシンス色のしじまから
冷たい夜の霧が ひたひたとひろがり
かつて咲きこぼれた アネモネのあざやかな彩りを
この枯草の原は すつかり忘れてゐる
ただ 夢のやうな色彩(いろ)のなごりが
オルゴールの響きにのつて かすかに揺らぎ
わたしの哀しみに そつと寄り添ふものは——
あのひとが残していつた 一枚のやさしい絵の具の記憶だ

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