Nicotto Town ニコッとタウン

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旅びとの唄


高原の秋は 乾いた風からはじまる
白樺の林を抜け 枯れはじめた草の葉を揺らし
風はどこへ行くともなく ただ吹き過ぎて
私の古い外套の 襟をそっと濡らしていく
一本の道を 私はひとり歩いている
振り返れば 遠い山並みが青く翳(かげ)り
ちぎれた雲が 冷たい空の果てへと
私の知らない 明日の国へ急いでいる
立ち止まり ただ風のゆくえを眺めるとき
心は透明な ガラスの器のようになり
あわい寂しさが 静かに満ちてくる
名も知らない 旅の日の夕暮れよ
私はこの乾いた 風の唄を道連れに
また静かに 歩きはじめよう

#日記広場:小説/詩




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