美的感性が枯渇することを許されない私
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/09/22 16:18:33
風のなかに かすかなる調(しらべ)のきこゆる
あのふかき青き空の 雲のゆくへに
私はいつでも 眼をひらいてゐねばならぬ
美しきものが 私を呼びつづけてゐるゆゑ
あのふかき青き空の 雲のゆくへに
私はいつでも 眼をひらいてゐねばならぬ
美しきものが 私を呼びつづけてゐるゆゑ
枯れ果つることを 許されぬ我が心は
一つの小さき花を ひそかに咲かせる
光と影の あはひ織りなす夢のなかに
私はいつも みづみづしき歌を求めてゐる
一つの小さき花を ひそかに咲かせる
光と影の あはひ織りなす夢のなかに
私はいつも みづみづしき歌を求めてゐる
あゝ 言葉が嘆息(たんそく)に変わるその前に
私はすくい上げねばならぬ こぼるる色彩(いろ)を
世界が私に 美しくあれと命ずるごとくに
私はすくい上げねばならぬ こぼるる色彩(いろ)を
世界が私に 美しくあれと命ずるごとくに
されば私は この静けき夜(よ)のなかで
あたらしく 星のきらめきを集むる
枯るることなき 我が魂(たましひ)の歌よ
あたらしく 星のきらめきを集むる
枯るることなき 我が魂(たましひ)の歌よ
――後書きに代へて
これらの小さな歌の数々を、私は初夏のあはい光のなかで、あるいは風のゆきすぎる窓のほとりで書きつけてゐた。
私の心には、いつからか一つの厳しい戒めのようなものが棲みついてゐる。世界がこれほどに優しく、またあまりにも美しく私を呼びつづけてゐるのに、もしも私の眼が曇り、私のなかの澄んだ泉(それをもて私は歌を紡ぐのであるが)が枯れ果ててしまったなら、私はもはや私でなくなってしまうだろうという怖れ。美に対して、いつでも新しく、いつでもみづみづしく震えてゐなければならぬという、それは私に課せられた、切なくも甘やかな宿命のやうなものであった。
言葉はいつでも、私の嘆息よりもさきに零れおちてしまう。パステル画の粉が風にさらわれてゆくやうに、捉えがたい色彩を、私はこの十四行の小さな器のなかに、そっと調律して閉じ込めたつもりである。
もしもこの歌のなかに、あなたの心をかすかにゆする星のきらめきが、ひとつでも残ってゐるならば――それは私の魂が、まだ枯れずに生きてゐることの、なによりの証(あかし)となるにちがいない。


























