月よりの使者――群青によせて
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/09/22 15:46:13
II. 葡萄のやうな瞳(め)をした旅人
使者は僕の机に 一つの硝子壜(びん)を置いた
なかには あふれるほどの群青のひかり
それは僕が いつか夢のなかで忘れてきた
言葉にならない かなしみの結晶(かけら)だつた
なかには あふれるほどの群青のひかり
それは僕が いつか夢のなかで忘れてきた
言葉にならない かなしみの結晶(かけら)だつた
旅人は 葡萄のやうな濡れた瞳で
だまつて僕の やつれた顔を見つめてゐる
その指先が 僕の額にふれるとき
つめたい銀のひかりが あおく滲(にじ)んでゆく
だまつて僕の やつれた顔を見つめてゐる
その指先が 僕の額にふれるとき
つめたい銀のひかりが あおく滲(にじ)んでゆく
「あなたは あしたの朝には
この美しい闇を 忘れてしまふだらう」
哀しげな予言が 部屋のすみに溜まる
この美しい闇を 忘れてしまふだらう」
哀しげな予言が 部屋のすみに溜まる
けれど いまこの瞬間の
群青にみちた しづかな充たされを
僕は永遠だと 信じてゐてもいいだらうか
群青にみちた しづかな充たされを
僕は永遠だと 信じてゐてもいいだらうか


























