Nicotto Town ニコッとタウン

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灰のなかの歌 ――普賢岳に寄せて


そこにひとつの崩壊(ほうかい)があつた
有明の海をわたつてくる風のなかに
白くただ凍えてゐる山が
おまへの去つたあとのやうに 美しく燃えてゐた
私はつめたい光のなかに立ち
あかるい灰の降る空をただ見上げてゐる
オルフェの竪琴(たごと)のやうに
私の心は ただ激しく震へてゐた
おまへはもう忘れてしまつたのだらうか
ルバイヤートの頁(ページ)をめくるやうに儚(はかな)い
崩れゆく嶺(みね)が湛(たた)へる最後の祈りを
けふも私のなかで風がうたふ
もう声も届かぬ そのうしろ姿に向かつて
涙にむせぶ雲のやうに ただ独り

#日記広場:小説/詩




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