Nicotto Town ニコッとタウン

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去り行く旅人


第一部:朝霧の出立
朝の霧が 竹林の奥へ流れるとき
私は静かに なじんだ道を歩みだす
露に濡れた笹の葉が そっと囁き
引き留めるような手を 引き絞るように
もう一度だけ ふり返るべきだろうか
いいえ 光はすでに東の空に淡く
私の古い名前を 消し去ろうとしている
ただ一言の「さようなら」さえ残さずに
胸の奥のオルゴールは ねじが切れ
冷たい風だけが からっぽの音を鳴らす
旅人はただ 長い影を引いてゆく
見送る者もない 寂しい坂道の途中で
私はひとつ 大きなため息をつき
まだ見ぬ明日の 寂寞へと足を踏み出す

#日記広場:小説/詩




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