Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



Feeling Good4


国道沿いのダイナーの窓際、冷え切った珈琲の向こう側で、夜が静かにひび割れていく。
藍色の闇が溶け出し、地平線の境界線がゆっくりと薄紅色のグラデーションに染まり始めていた。
ネオンサインがパチパチと頼りない音を立てて消え、代わりに世界が青い光に満たされていく。
夜を徹して走り続けた身体はひどく疲れているはずなのに、頭の芯は驚くほどに冴え渡っていた。
カウンターの奥で、眠そうな店主が静かに皿を洗う音が響く。
このひなびた店には、俺の過去を知る者も、何かを期待してくる者も誰もいない。
ただ通り過ぎていく旅人と、終わりゆく夜があるだけだ。
一口すする珈琲は苦く、胃の奥に確かな熱を落としていく。
昨日までの苦い裏切りも、捨て去ってきた街の喧騒も、この夜明けの光のなかではすべてが等しく、ただの淡い影へと変わっていく。
何も持たずにここへ来た。
そしてまた、何も持たずにここを発つ。
夜が明ける。
新しい一日が始まるが、俺の旅が終わるわけじゃない。
支払いを済ませて店の外へ出ると、ひんやりとした朝の空気が肺を満たした。
昇り始めた太陽を背に受けて、俺は再び、どこでもない場所へと歩き出す。_

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