秋麗の風によせて
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/09/09 22:53:00
だれを待つともなく 古い宿場の軒端(のきば)に
秋のひかりは ただ哀しくたまつてゐる
かつてあれほど賑やかだつた つめたい石畳を
いまは寂しい風だけが ひとりで吹きすぎてゆく
秋のひかりは ただ哀しくたまつてゐる
かつてあれほど賑やかだつた つめたい石畳を
いまは寂しい風だけが ひとりで吹きすぎてゆく
遠い山の手のひそやかな伽藍(がらん)から
おそい夕暮れの晩鐘が ひとつ、またひとつと響いてくる
それは消えゆくもののやうに ひろごる影のなかへ
あの日と変わらぬ うつろな時の音を運んでゐる
おそい夕暮れの晩鐘が ひとつ、またひとつと響いてくる
それは消えゆくもののやうに ひろごる影のなかへ
あの日と変わらぬ うつろな時の音を運んでゐる
――秋が かうして 静かにかへつて来た
置き去りにされた 古い道標(みちしるべ)に寄り添ふやうに
透きとほる風のなかに 私はこぼれる涙を拭ふ
置き去りにされた 古い道標(みちしるべ)に寄り添ふやうに
透きとほる風のなかに 私はこぼれる涙を拭ふ
すべてはうつろひ 二度と戻らない日々の
しかし確かななごりを この胸に深く抱いて
私はただ 暮れなづむ高原の寂暮をきいてゐる
しかし確かななごりを この胸に深く抱いて
私はただ 暮れなづむ高原の寂暮をきいてゐる

























