蒼の夜汽車に寄せて4
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/09/03 19:18:00
夜汽車は ひとりきりの僕を乗せて
昏(くら)い夜の谿(たに)を ひたすらに走る
耳の底で 鳴りやまぬ古いチェロの音楽(うた)は
もう 誰の記憶でもない 寂しい調べだ
昏(くら)い夜の谿(たに)を ひたすらに走る
耳の底で 鳴りやまぬ古いチェロの音楽(うた)は
もう 誰の記憶でもない 寂しい調べだ
窓のむこうの どこまでも青い闇から
冷ややかな月の光が 追つてくる
白い霧が立ち込め 風が窓を叩けば
見知らぬ僕の個影(こえい)が どこまでも追つてくる
冷ややかな月の光が 追つてくる
白い霧が立ち込め 風が窓を叩けば
見知らぬ僕の個影(こえい)が どこまでも追つてくる
あゝ 遠い秋の日の 燃えるやうな紅葉(もみぢ)も
いまは 闇のなかに 埋もれてしまつた
すべては 過ぎ去つてゆく幻(まぼろし)なのに
なぜ 星の眼差しだけが 仆(ぼく)を呼び戻すのだらう
いまは 闇のなかに 埋もれてしまつた
すべては 過ぎ去つてゆく幻(まぼろし)なのに
なぜ 星の眼差しだけが 仆(ぼく)を呼び戻すのだらう
硝子(ガラス)の露(つゆ)は 涙のやうに流れ
古い弦の音(ね)も どこかへ途絶(とだ)えゆく
月よ 追ふのをやめておくれ、僕はゆくのだ
あのあかい葉の 降り積もる 終の駅へ——
古い弦の音(ね)も どこかへ途絶(とだ)えゆく
月よ 追ふのをやめておくれ、僕はゆくのだ
あのあかい葉の 降り積もる 終の駅へ——
























