日見峠の霧
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/08/15 04:36:53
優しくひとつの朝がひらかれるとき
僕は見失う、僕の歩むべき細い道を。
日見峠の古い坂に立ちこめる霧は、
まるで誰かのささやきのように淡く、白い。
僕は見失う、僕の歩むべき細い道を。
日見峠の古い坂に立ちこめる霧は、
まるで誰かのささやきのように淡く、白い。
消え去った旅人たちの足跡を隠し、
みどりの木の葉を濡らす、しめやかな涙。
追憶のなかでだけ鳴りひびく馬鈴の音が、
このぼんやりとした景色のどこかに、眠っている。
みどりの木の葉を濡らす、しめやかな涙。
追憶のなかでだけ鳴りひびく馬鈴の音が、
このぼんやりとした景色のどこかに、眠っている。
あねもねの風が僕の頬をかすめ、
失われた季節のうたを、低く歌う。
すべては淡い記憶の底へ沈んでゆくのだろうか。
失われた季節のうたを、低く歌う。
すべては淡い記憶の底へ沈んでゆくのだろうか。
霧の向こうに、まだ見ぬ海があるとしても、
僕はただ、この一瞬のなつかしい孤独のなかに、
そっと眼を閉じて、佇んでいたい。
僕はただ、この一瞬のなつかしい孤独のなかに、
そっと眼を閉じて、佇んでいたい。

























