真夏の灯台
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/08/12 00:48:32
灼熱の光は、ぼくらを刺す刃(やいば)。
淡い薄瑠璃(うするり)の空を、ひき裂くやうに、
白い灯台は、ただ、突っ立ってゐる。
逆光のなかに、君を置き去りにしたまま。
淡い薄瑠璃(うするり)の空を、ひき裂くやうに、
白い灯台は、ただ、突っ立ってゐる。
逆光のなかに、君を置き去りにしたまま。
風は吹きつのり、砂を噛む。
それは、ちぎれた幸福の吐息(といき)。
海鳥たちは、パステルをこぼした波の上、
狂ったやうに、君の名を呼びつづけてゐる。
それは、ちぎれた幸福の吐息(といき)。
海鳥たちは、パステルをこぼした波の上、
狂ったやうに、君の名を呼びつづけてゐる。
あんなに烈(はげ)しく、
あんなに眩(まぶ)しく、
光がすべてを焼き尽くすから、
ぼくらが交はした約束も、もう見えない。
あんなに眩(まぶ)しく、
光がすべてを焼き尽くすから、
ぼくらが交はした約束も、もう見えない。
海鳥よ、おまへの鋭い叫びは、
風にさらはれ、波に砕かれ、
かへらないあの日への、
あまりに痛切な、ただ一つの調べ。
風にさらはれ、波に砕かれ、
かへらないあの日への、
あまりに痛切な、ただ一つの調べ。
すべては光のなかに没(しづ)む。
引き裂かれた風のなかで、
灯台だけが、冷たく凍りつき、
薄紫の夕暮を、ただ待ってゐる。
引き裂かれた風のなかで、
灯台だけが、冷たく凍りつき、
薄紫の夕暮を、ただ待ってゐる。
あの真夏のまばゆさのなかに、ぼくらはたしかに何かを失ってしまった。光が強ければ強いほど、ぼくらの影は濃く、引き裂かれてゆく。海鳥の鋭い羽ばたきと、どこまでも冷たい灯台の白さ。薄瑠璃の空が薄紫の闇へと溶けてゆくとき、ぼくの耳には、もう届かない君の声が、風の音にまじっていつまでも響いてゐるのだ。

























