雨の降る遠い町で――虚蝉に
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/08/11 08:18:33
はるかな町に 雨がしづかに降つてゐる
瓦のやうに灰色の 見知らぬ屋根たちの下
僕はひとりで 古い窓から外を眺め
おまへののこした うすい殻を手のひらに載せてゐる
瓦のやうに灰色の 見知らぬ屋根たちの下
僕はひとりで 古い窓から外を眺め
おまへののこした うすい殻を手のひらに載せてゐる
あの夏の日 光のなかで啼きしきつたおまへの
小さなうたは いまはどこへ行つてしまつたか
この濡れた舗石(しきいし)のうえを 流れる水のやうに
すべては遠くの川へ 消え去つてしまつたのか
小さなうたは いまはどこへ行つてしまつたか
この濡れた舗石(しきいし)のうえを 流れる水のやうに
すべては遠くの川へ 消え去つてしまつたのか
窓硝子(まどガラス)には 冷たい滴がいくつも走り
おまへの羽のやうに かすかに光を反射(かへ)してゐる
そのすきとほる背中には もう宿るいのちもないのに
おまへの羽のやうに かすかに光を反射(かへ)してゐる
そのすきとほる背中には もう宿るいのちもないのに
雨よ 哀歌(エレジイ)のやうに この町を濡らせ
僕は静かな夢のなかで あの遠い夏をふりかへる
おまへの脱ぎすてた さびしい銀のともしびのなかで
僕は静かな夢のなかで あの遠い夏をふりかへる
おまへの脱ぎすてた さびしい銀のともしびのなかで

























