寂れた温泉宿から2
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/07/20 15:11:11
白く、どこまでも白い朝の霧がひろがり
岩場もみづうみも、すべてを隠してしまふ
ここにはただ、世界の果てのやうな静寂
わたしの呼吸(いき)だけが、つめたく響いてゐる
岩場もみづうみも、すべてを隠してしまふ
ここにはただ、世界の果てのやうな静寂
わたしの呼吸(いき)だけが、つめたく響いてゐる
背負ひつづけたかなしみは、あまりに重く
私はもう、語るべき言葉を失くしてしまった
ただ独り、この濃い霧のなかに立ち尽くし
消え去った過去のひとを、おもひだしてゐる
私はもう、語るべき言葉を失くしてしまった
ただ独り、この濃い霧のなかに立ち尽くし
消え去った過去のひとを、おもひだしてゐる
湧き上がる湯煙は、朝霧のなかに溶け去り
どこからが夢で、どこからが現実(うつつ)かも分からず
ただ、しんしんと、つめたい時間が降り積もる
どこからが夢で、どこからが現実(うつつ)かも分からず
ただ、しんしんと、つめたい時間が降り積もる
すべてが白く消えゆく、この消滅のほとりで
私は、この深いしづけさに身をまかせ
ただ、かすかな光の訪れを、待ってゐる
私は、この深いしづけさに身をまかせ
ただ、かすかな光の訪れを、待ってゐる


























