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夏の高原 手紙


あおい木蔭のテーブルに ひろげた便箋(びんせん)
夏のひかりが しらかばの葉をまぶしく揺らし
ぼくの万年筆のさきに ひとつの名前を
書かうとしては また風がさらってゆく
おまへに宛てた手紙は いつも途中で途切れる
あまりに透きとおつた この高原のひるさがりに
ぼくのさびしさを語る ことば(言葉)が見つからない
ただ すずらんの揺れる音だけを ここに閉じ込めたい
けれど 書かれなかつた言葉のほうが
どんなに深く おまへのもとへ届くだらう
あざやかなみどりの誘惑に 目をひらけば
遠い雲が 青いそらの涯てへと消えてゆく
ぼくの手紙は 一通の風となって
いま おまへの窓辺へと 吹き抜けてゆくだらう

#日記広場:小説/詩




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