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最終章:雲海の果てに


かすかな風が…… ひそやかに
わたしの頬を 通りすぎる
あの日のやうに 眼下にひろごる雲海のなか
あんなに深かつた夜の闇が いまはもう溶けてゆく
ここは最初に ふたりで出逢つた場所
いまは独り 冷めたき風に立ち尽す
ちぎれゆく白き雲の合間に
失はれたものたちの やさしい影がにじんでゆく
あかつきは あまりに静かで
届かぬ名前ひとつ 雲海へと叫べぬ間に
光の幕が そつと降りてくる……
もう二度と戻らない あの駅のホオムのやうに
せめてこの一瞬の 青き孤独を
あなたの心に…… 残しておきたい
【添へ書き】
君と最初に見たあの雲海の地に、僕は独りで立つてゐます。
消えかけたランプも、冷めた珈琲も置いて、この果てしない白銀の波の前に来ました。
僕たちの物語はここで静かに幕を閉じますが、どうか君のゆく未来が、この朝光のやうに光り輝いてゐますやうに。さようなら。

#日記広場:小説/詩




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