名前
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/06/28 03:15:20
夜更け、机の上の小さな灯りだけが部屋を照らしていた。
ページの片隅に「名もない花になりたかった」とあって、私は指を止めた。
名もない花なんて、本当にあるのだろうか。
ずっと昔から、誰かが草の背丈を測り、葉の形を数え、花弁の色を確かめ、ひとつずつ名前を与えてきたはずだ。
名前のない花があるとしたら、それはまだ誰の目にも触れていない、新しい呼吸をしている花だけ。見つかった瞬間に名がつき、「名もない花」ではなくなってしまう。
その考えが胸の奥で静かにほどけて、私は鉢植えの土をそっと撫でた。
「ここなら、誰にも見つからないかしら」
そうつぶやくと、ミケが足もとに絡みつき、まるで賛成するように喉を鳴らした。
眠れない夜は、私とあなたとミケで月を眺めよう。
あなたの静けさを守るために。嵐も吹雪も届かない、小さな部屋の窓辺で、まだ見ぬ花の息づかいを待つ
朝になれば、世界はまた誰かに名前をつけたがるだろう
でも、この夜だけは何者にもならなくていい。ただ月明かりに照らされて、そこに咲いているだけでいい
私だけは、あなたの名前を知らないままでいるから
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- おもち
- 2026/06/28 08:42
- 兄も詩を書くのが好きなんです。兄弟あまり話さないため疎遠ですが、詩に気持ちを込めるって凄いことだと尊敬しています。私は文才ないので羨ましい限りです。
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