春の嵐
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/06/27 14:54:10
あらい風が 青い梢を揺すぶつてゐる
ひそやかに咲いたばかりの 花びらが
僕の帽子のうえに また肩のうえに
ちぎれた手紙のやうに 散り急いでゐる
ひそやかに咲いたばかりの 花びらが
僕の帽子のうえに また肩のうえに
ちぎれた手紙のやうに 散り急いでゐる
僕は ただひとりの寂しい個影(かげ)となり
あかるい乱気流のなかに 立ちつくす
きみと歩いた あのなつかしい並木道は
いまはもう 遠い追憶の底に沈んで
あかるい乱気流のなかに 立ちつくす
きみと歩いた あのなつかしい並木道は
いまはもう 遠い追憶の底に沈んで
ひとはみな ゆくえも知らず去つてゆき
街のざわめきだけが 激しく吹き抜ける
窓の硝子(ガラス)を叩くのは 春のしづくだらうか
街のざわめきだけが 激しく吹き抜ける
窓の硝子(ガラス)を叩くのは 春のしづくだらうか
行くなと叫ぶ 僕の小さなこゑは
たちまち嵐のなかに かき消されて
ただ うす紅色の哀しみだけが 僕を濡らす
たちまち嵐のなかに かき消されて
ただ うす紅色の哀しみだけが 僕を濡らす


























