Nicotto Town ニコッとタウン

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白夜のブルース2

静まり返った部屋_
鳥籠のなかの小さな羽ばたき。
レコードの溝を滑る針が、
あの物憂げなオルガンの音を、ぽつり、ぽつりと落としてゆく。
中折れ帽の庇を引き下げれば、
世界はただ、冷たい青の一色に染まる。
トレンチコートの襟に顔を埋め、
寂れた路地裏の、濡れた石畳を歩いてゆく。
消えかけたネオン、遠くで響く誰かの足音。
胸の奥で繰り返される、ジャズの気だるいリフレイン。
この雨の冷たさだけが、いまの俺を確かにつなぎ止めていた。
ナイトクラブの片隅、紫の煙が渦巻く闇のなか。
琥珀色のグラスの底で、氷が小さく、頼りなく砕ける。
ざわめきは遠く、音楽はどこまでも優しく。
失くしたものの名前を思い出すように、
消えゆく紫煙の行く方を見つめていた。
夜が、ゆっくりと剥がれてゆく。
クラブの重い扉を開けると、
ビルの隙間から、透き通るような白い光が溢れだした。
冷たい朝の風が、頬をかすめて通り抜ける。
トレンチコートのポケットに両手を深くねじ込み、
明けてゆく街のなかへ、静かにその影を溶かしてゆく_

              眠りの森 https://ameblo.jp/nemuri00/

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