月光の埠頭
- カテゴリ:日記
- 2026/06/04 09:58:31
台風が去った後の埠頭は、ひどく静かだった
ちぎれた雲の隙間から、冷たい月光が零れ落ちる
海面は黒いインクのように凝固し
錆びついたボラードが、誰かの墓標のように佇んでいた
ちぎれた雲の隙間から、冷たい月光が零れ落ちる
海面は黒いインクのように凝固し
錆びついたボラードが、誰かの墓標のように佇んでいた
コートの襟を立て、煙草に火をつける
紫煙は月明かりに溶け、すぐに消えた
ここにはもう、誰もいない
あいつが残した、かすかな香水の残り香以外は
紫煙は月明かりに溶け、すぐに消えた
ここにはもう、誰もいない
あいつが残した、かすかな香水の残り香以外は
「約束の時間は過ぎたな、月よ。
あいつはもう、この船には乗らないらしい」
あいつはもう、この船には乗らないらしい」
ポケットの中で、冷え切ったスキットルに触れる
結局、俺たちはいつもすれ違う
ブルースの旋律だけが、波の音に混ざって
俺の耳の奥で、低く、重く、リフレインしていた
結局、俺たちはいつもすれ違う
ブルースの旋律だけが、波の音に混ざって
俺の耳の奥で、低く、重く、リフレインしていた
月光に照らされた影が、不自然に長く伸びる
それが俺の、唯一の相棒だ
あいつのいない夜を、俺はまた一人で歩き出す
凍りついた光の海を背に、次の街へ向けて
それが俺の、唯一の相棒だ
あいつのいない夜を、俺はまた一人で歩き出す
凍りついた光の海を背に、次の街へ向けて


























