5月の帳
- カテゴリ:日記
- 2026/05/14 01:51:44
5月の港に、不似合いな霧が立ち込めている。
汗ばむ陽気はどこへ行った。この霧は、夜の泥酔を洗い流そうとする朝の冷気ではない。もっと粘り気のある、昨日からの溜息だ。
汗ばむ陽気はどこへ行った。この霧は、夜の泥酔を洗い流そうとする朝の冷気ではない。もっと粘り気のある、昨日からの溜息だ。
私はトレンチコートの襟を立て、ジッポの炎で煙草に火をつけた。
安物のバーボンより、この霧の味の方が幾分かましだ。遠くで霧笛が鳴る。重く、鈍い、誰かの死を告げるような音。
安物のバーボンより、この霧の味の方が幾分かましだ。遠くで霧笛が鳴る。重く、鈍い、誰かの死を告げるような音。
桟橋の先は、白い虚無に呑み込まれていた。
船は動かない。約束も、おそらくは動かないだろう。
私の顔に、霧が冷たい指先で触れてくる。それは「逃げろ」と囁いているようでもあり、「ここにとどまれ」と命じているようでもあった。
船は動かない。約束も、おそらくは動かないだろう。
私の顔に、霧が冷たい指先で触れてくる。それは「逃げろ」と囁いているようでもあり、「ここにとどまれ」と命じているようでもあった。
どちらでもいい。
煙草が指に近づく。私はそれを霧の中に投げ捨てた。
白く濁った世界の中で、ただひとつ、私の意志だけが、確かな重みを持ってそこに在った。
煙草が指に近づく。私はそれを霧の中に投げ捨てた。
白く濁った世界の中で、ただひとつ、私の意志だけが、確かな重みを持ってそこに在った。
5月の霧は、私の孤独を隠してはくれない。
ただ、静かに、それを濡らしていくだけだ。____
ただ、静かに、それを濡らしていくだけだ。____
























