聖母の沈黙
- カテゴリ:日記
- 2026/05/09 13:33:22
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シテ島の心臓は、夜の闇に縫い止められている。
見上げるノートルダム、その双塔は
天を指さしているのではない。
逃げ場のない罪人を、冷徹に監視しているのだ。
見上げるノートルダム、その双塔は
天を指さしているのではない。
逃げ場のない罪人を、冷徹に監視しているのだ。
セーヌの川面は、墨汁を流したように黒い。
そこに映るステンドグラスの残光は、
かつて流された誰かの血よりも、なお、禍々しく赤い。
そこに映るステンドグラスの残光は、
かつて流された誰かの血よりも、なお、禍々しく赤い。
再建の槌音は止み、代わりに風が哭いている。
ガーゴイルどもが、暗がりのなかで嘲笑う。
「お前の祈りなど、あの崩れ落ちた尖塔とともに、
とうの昔に灰になった」と。
ガーゴイルどもが、暗がりのなかで嘲笑う。
「お前の祈りなど、あの崩れ落ちた尖塔とともに、
とうの昔に灰になった」と。
祈りを忘れたロザリオを、ポケットの奥にねじ込み、
俺は安物のライターを弾く。
揺れる炎が、石壁に刻まれた数世紀の孤独を炙り出す。
俺は安物のライターを弾く。
揺れる炎が、石壁に刻まれた数世紀の孤独を炙り出す。
神がこの街を統治しているなど、ただの幻想だ。
今夜、この場所を支配しているのは、
冷たい石の沈黙と、消えない火傷の跡だけだ。
今夜、この場所を支配しているのは、
冷たい石の沈黙と、消えない火傷の跡だけだ。

























