Nicotto Town ニコッとタウン

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微かな個人の矜持

薄汚れた街の灯が、
雨に濡れたアスファルトに溶けていく。
タバコの煙とウイスキーの匂い。
それが俺の、この薄っぺらい現実だ。
逃げるのも、信じるのも勝手だが、
神はとっくに定時で帰た。
十字架を背負ったところで、
肩が凝るだけだ。
聖書(バイブル)の紙は、
半紙にもならない。
「救われる」?
笑わせるな。
この乾いた心に、甘い祈りは染み込まない。
死ぬときは独り。
誰の手も借りない。
紫煙を吐き出し、コートの襟を立てる。
冷たい雨が、俺の顔を撃つ。
それだけで、いい_

紫煙と砂塵が、慈悲も理屈も塗りつぶす。
ここでは仏もキリストも、瓦礫の下で黙り込んだままだ。
「救い」だと?
飛んでくる事件に、宗派の区別なんてありはしない。
祈りを捧げる暇があるなら、泥水を啜ってでも生き延びろ。
神の加護を待つより、錆びたナイフの切れ味を信じる方が、
よっぽど明日に近い。
聖典を破いて傷口を塞ぎ、
数珠を千切って弾丸の代わりにする。
天国も地獄もありはしない。
あるのは、冷たくなっていく肉塊と、
それを眺める空っぽの空だけだ。
「神は見ておられる」だと?
ああ、見てるだろうさ。特等席で、この喜劇をな。
逃げるのも、信じるのも勝手だが、
鉄の味がするこの風の中で、
独りで立ち尽くす
膝をつくのは、祈るためじゃない。
次の一歩を踏み出すためだ_

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