Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



ガラスの破片を飲み込んで

私の肺に残る空気は、誰かが吸うはずだったものです。
この街が灰に変わったあの日、私はただ運命の気まぐれに拾われ、
こうして今も、無意味に心臓を動かし続けています。
「お花畑」という言葉が、今の私には酷くお似合いかもしれません。
死にゆく者たちの叫びを背に、私はただ生き延びてしまった。
反戦とは、気高い理想などではなく、
この手にこびりついた「臆病という名の血」を、一生かけて洗い流そうとする無駄なあがきです。
瓦礫の中に、見覚えのある模様の布が埋まっていました。
それを掘り起こす勇気もなく、私はただ視線を逸らす。
守れなかった約束、掛けられなかった言葉、
それらが鋭い硝子の破片となって、息をするたびに胸の奥を切り刻みます。
なぜ、私だったのか。
その問いに答える神様は、この街の崩壊とともに死に絶えました。
私は、自分が汚したわけでもないはずのこの街の、
すべての不条理を一人で背負うかのように、ただ重い足を引きずります。
生きていることが、これほどまでに残酷な暴力だとは。
バーのカウンターに置かれた、氷の溶けきったグラス。
映り込む私の目は、もう光を知らない。
反戦。その二文字を口にする資格さえ、
本当は、この生温かい体を持つ私にはないのかもしれない。
それでも、私はこの重みを抱えて生きていく。
それだけが、瓦礫の下で眠る彼らに対する、私の唯一の弔いなのだから_

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