Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



終着駅のミュート

午前二時、裏通りの湿った風が
バーボンの苦味を喉の奥へ押し戻す。
角を曲がれば、錆びついた街灯の下
マイルスの「ソー・ホワット」が微かに震えていた。
かつて誰かが言った。
この街の静寂は、饒舌すぎるトランペットでしか埋められないと。
掠れたミュートの音色は、
昨日捨てたはずの嘘を、一つずつ丁寧に拾い上げていく。
煙草の煙が、雨のヴェールに溶けて消える。
引き金を引くような指先で、コートの襟を立てた。
答えなど、最初からこの冷たいコンクリートには落ちていない。
「それで、どうした?」
風が問いかける。
俺は答えず、ただ最後の一吹きに耳を澄ませる。
夜が明ける前に、マイルスが止まる。
その時、この街は本当の孤独を知る_

#日記広場:日記




Copyright © 2026 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.