Nicotto Town ニコッとタウン

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散り際の沈黙

風が吹けば、世界は白く塗りつぶされる。
美しすぎて反吐が出るほど、残酷な色の雪だ。
桜の下、酒の抜けたコップに花びらが一枚
無粋な闖入者のように、音もなく滑り込んだ。
「来年も、また見られるかな」
そう呟いた声は、風にさらわれて誰の耳にも届かない。
約束なんてものは、春の陽炎と同じだ。
握りしめた拳を解けば、そこには何も残っていない。
命は、この枝先に宿る刹那の輝きに似ている。
咲き誇る一瞬のために、長い冬を耐え忍び
完成した瞬間に、崩壊へと向かい始める。
頂点から奈落への距離は、紙一枚ほどの厚さしかない。
散り急ぐ花びらが、アスファルトの上で無残に踏まれる。
それを憐れむほど、俺は若くもないし、優しくもない。
ただ、踏みにじられた跡に残る微かな香りを
吸い殻と一緒に吐き捨てるだけだ。
去り際を美しく飾る必要なんてない。
ただ、役割を終えた役者のように
静かに、背中を見せて消えていけばいい。
空になったコップを置き、俺は歩き出す。
肩に積もった春の残骸を、一振りで振り払って_

#日記広場:人生




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