Nicotto Town ニコッとタウン

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〒郵便  配達されない手紙

午前3時。バーボンのグラスが、空になった俺の心みたいに冷たい。
テーブルの隅、埃をかぶった黄色い封筒。
宛先は「霧の彼方、あるいは死んだはずのあいつ」。
切手は貼った。住所も書いた。
だが、この街の郵便夫は、真実(トゥルース)を運ぶのには少しばかり臆病すぎる。
煙草の煙が、天井に愛の言葉を描いては消える。
郵便受けを叩く音はしない。
風の音か、死神の足音か。
この手紙は、どこへも届かない。
あいつの黒いドレスの胸元にも、
凍りついた墓石の下にも。
黒いインクが、白い紙の上で独りぼっちで溺れている。
「愛してる」と書こうとして、
俺は「さよなら」と書き直した。
そんな手紙が、何万通もこの街の隅っこで、
誰にも読まれず、明日を待っている。
配達されない手紙。
返事はいらない。
バーボンがなくなるまで、この手紙を俺が読めばいい。
今夜も、二度目のベルは鳴らない。

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