Nicotto Town ニコッとタウン

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逃げ場の終焉

湿ったレンガの壁が、行く手を塞いでいる。
振り返れば、追いかけてきたはずの喧騒さえ
夜の帳(とばり)に飲み込まれていた。
ここは、地図から見放された吹き溜まり。
春のぬるい風も、この角を曲がれば
湿り気を帯びた古い鉄の匂いに変わる。
行き止まりは、嘘をつけない場所だ。
言い訳も、退路も、未来への期待も、
この分厚いコンクリートの壁がすべて撥ね返す。
俺はポケットを探り、湿ったマッチを擦った。
小さな火が、行き場のない孤独をぼんやりと照らす。
灰色の影が壁に長く伸び、
ようやく一人の時間(とき)を手に入れたことを知る。
「ここまでだ」
誰に言うでもなく、紫煙を吐き出した。
絶望ではない。
ただ、これ以上どこへも行かなくていいという
残酷なまでの安らぎが、そこにはあった。
背中の壁は、ひどく冷たい。
だが、確かな手応えだけが、俺がここにいる証明だった。

#日記広場:人生




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