Nicotto Town ニコッとタウン

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錆びた本能

20年、平穏という名の麻酔に浸かっていた。
安物のコーヒーを啜り、
誰にでも代わりのきく仕事で一日を潰す。
俺の牙は、とっくに生ゴミと一緒に捨てたはずだった。
だが、路地裏から流れてきたのは
かつて嫌というほど嗅いだ、オイルと湿った鉄の匂い。
それと、暴力の前触れにある、あの嫌な静寂だ。
体が勝手に、最短の逃走経路を弾き出す。
すれ違う奴の視線の鋭さで、懐に何を隠しているか悟ってしまう。
隠したはずの「狼」が、皮膚のすぐ下で脈動を始めた。
穏やかな老後なんて、俺には似合わなかったらしい。
指先が微かに震えるのは、恐怖じゃない。
ようやく、自分が何者だったかを思い出した歓喜だ。
手紙はこれで終わりだ。
これ以上は、言葉にするような奇麗な話じゃない_

#日記広場:人生




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