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邦楽と和楽器の終焉



業界の方を否定/批判/非難する気は毛頭ございません。
個人的には現代の和楽器音楽を好んでいないのですが、
単なる趣味/嗜好であり、嫌い≒悪という馬鹿げた短絡でもありません。

先日、地方在住の和楽器製作関係者から様々なお話を伺いました。
和楽器と邦楽は滅ぶという実感を、諦観とともに語ってくれたのを聞きながら、
世の無常というものをしみじみ噛みしめて歯ぎしりしてしまいました。

文化は創り手だけでは維持できない。受容者、工業商業と経済圏、
風俗に思想や政治とも密接に関わる有機体です。特に経済活動の面が重要。
平たく言えば、喰えない世界は縮小し衰退し終焉を迎えます。

その方は先日亡くなった沢井一恵氏や野坂恵子氏とも交流があった。
邦楽の異端として疎外されてきたお二人が晩年伝統に回帰し、
共演した時の素晴らしさなども語ってくれたのですが……。

和楽器は輪島塗や友禅同様の工業製品、原料と技術者と市場が必要。
この全てにおいて八方塞がり、もう滅ぶしかないと仰る。
伺った話をいくつか紹介してみましょう。

箏や三味線には鼈甲や象牙、黒檀や紫檀などが使われます。
それでなければ出せない伝統的な音色があるからです。
そうした稀少な材料はほぼ全て規制/禁止対象になっています。

新素材で匹敵する物を開発すれば良いだろ?と現代人は考えるが、
もはやその余裕も体力も業界には無いのです。更にそれはあくまで模造品。
本物の音色を知る者にとっては許しがたい冒涜でもある。

三味線の皮は犬と猫、雄の三毛猫が最上という話はご存じでしょう。
素晴らしい動物愛護精神が浸透し、国内では調達が不可能です。
しばらく前までは猫や犬を食用にするアジアの国から細々と入ってたが……

これまた素晴らしいネット普及で思想価値観のフラット化が進み、
どの国でも、犬や猫を食用にするなんて野蛮!という道徳と倫理が普及。
牛や豚の皮ならいくらでもあると宣うトーシロも大勢いるそうな。

次に技術者の終焉。だれも技術を教えないのだという。
理由は二つ。弟子をとっても食えない業界だというのが表向き、
実際のところは、本物の伝統を判るヤツがいないから。

象牙の琴柱の削り方で音色は雲泥の差。三味線のさわりの仕上げ方も。
怒鳴られ殴られ身体と全感覚器で覚えた伝統技法の生む音色を、
理解し享受できる日本人はもう、いなくなると仰る。首肯してしまった。

邦楽、月に何度位聴いてますか? 常磐津と清元の違い、判りますよね。
長唄三味線は江戸の粋な町人文化、太棹は津軽より義太夫や浪曲ですよねぇ。
座り方見ただけで山田か生田か判りますよね。当たり前ですよね。

……痛切な自戒を込め書いておりますので、皮肉はご容赦を。
そんな時代に技術を残すことに何の意味がある? 伝統よ私と共に滅べ。
職人は電話にすら出ないそうです。昔馴染の贔屓相手に細々営業し死んでいく。

国内で邦楽で食うのは無理だから演奏者は海外に市場を求める。
楽器を運ぶには、偉大なワシントン条約を順守するのが当然のこと。
規制対象の材を使わず同じ音色を出せと言われる。電話に出たくないわけだ。

邦楽は近年、人口に膾炙しているように見えますよね。
打ち込み系音楽で和のテイストを演出するため盛んに引用されてるし、
エレキ三味線やエフェクトかけまくった箏を使う和楽器バンドもたくさん。

まさにそれが終焉なのです。『Syami-Sen』『Ko-to』は和楽器ではない。
私と同世代のその方は、バックグラウンドに共通するものが多いので、
邦楽を終焉させた真犯人の一人が自分達だということも、強く自覚しています。

滅びとは美の一形態です。純邦楽と和楽器は美しく終わるのでしょう。
政府が何兆円使おうと無駄。文化はこうして喪われるのです。
喪われることを哀しめる私にとって、この話は罪であり罰でもありました。

#日記広場:音楽




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