Nicotto Town



山下和仁氏の早世を惜しむ。



日本を代表する『クラシック』ギタリストの山下和仁氏が、
1月24日に亡くなっていたことを知りました。まだ64歳という若さ。
ニュースを知り、思わず「若すぎるだろ!」と声に出してしまいました。

シーンに登場した十代前半の頃から存在を気にしていたし、
超絶技巧には呆れるしかありませんでした。ですが、それよりも。
王道の『クラシック』ギタリストとしての氏の存在は大きかった。

今世紀に入り、ボーダーレスに活躍するクラシックギタリストが一般化し、
民族音楽はもちろん、邦楽、ポピュラー、ジャズ、ロック等々をアレンジし、
演奏する機会が増えた。いや、呼吸のように自然なことになったのでしょう。

今世紀の音楽のキーワードの一つが『開かれた音楽』です。
多文化共生・ダイバージェンスの時代にふさわしいものですが……
私はコレが苦手。正直なところ、大嫌いなので敬遠気味なのです。

これは私の頑迷な保守性から来ています。あらゆる分野に正統・王道がある。
それを守る方々がいるからこその逸脱であり前衛である、という偏見です。
乱暴に言うと「なんでもかんでも混ぜれば旨くなると思うのは大間違い」となる。

心のどこかで混淆文化を忌避してるわけです。もちろん甚だしき勘違いでして、
日本文化にしろジャズにしろロックにしろ、壮絶な混淆物なのも判ってます。
ですが、それでも。能楽は能楽として、バッハはバッハとして聴きたい。

山下氏は生涯『クラシック』の人でした。同世代として尊敬してました。
重鎮である荘村清志氏などと同様、クラシックの砦を守るだけでなく、
その砦を日々拡張し続けた。常人には想像できない偉大な功績です。

こういう方が演奏するからこそ、クラシックの素晴らしさが十全に伝わる。
エレキとクラシック二刀流の超絶技巧の若手が弾くジャズやロックの難曲に、
貴方の魂は震えるんでしょうか? 感動した!? なら忘れてください。

クラシック屋もロック屋もジャズメンも、一音に賭ける瞬間があります。
押弦し、ただ一音を何の技巧も凝らさず弾く。そこに人生の全てが現れる。
だから魅せられてしまう。音楽という化物の深淵を垣間見てしまう。

訃報を知ったのは1月29日、鮎川誠さんの命日でした。
鮎川さんは骨の髄までロックの人、山下氏は純然たるクラシックの人。
でも私にとって、彼らの遺した音は等価なのです。ご冥福を祈ります。

#日記広場:音楽




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