「小雪」について⑥
- カテゴリ:日記
- 2025/12/28 22:34:03
「小雪に見頃を迎える草花」
寒さが深まり始める小雪の頃にも、静かに美しく実る草花があります。冬の訪れを前に、命の力強さと自然の繊細な表情に目を向けてみましょう。
「野路菊(のじぎく)」
キク科の多年草で、日本固有の野生菊のひとつ。近畿以西の本州から四国・九州にかけて、海にほど近い山のふもとや崖に自生しています。花は一般的に白色ですが、淡い紅色や黄色を帯びるものもあり、野生の菊の中でもひときわ大きく、美しさが際立つ花です。潮風に耐えながら咲くその姿には、素朴さとたくましさが同居し、秋から初冬の山肌をやさしく彩ります。
「野茨(のいばら)」
春の終わり、5〜6月にかけて白く可憐な花を咲かせる野茨。その後、晩秋から初冬にかけては、小ぶりで艶やかな赤い実をつけ、季節の移ろいを静かに伝えてくれます。
この赤い実は、見た目の美しさだけでなく実用性も兼ね備えており、果実酒としても親しまれ、また乾燥させて薬用として用いられることもあります。古くから、便秘や利尿作用を促す自然の恵みとして重宝されてきました。
「小雪の味覚|旬を味わい、季節を身体に取り込む」
朝晩の冷え込みが一段と深まる小雪は、体を温める旬の味覚がいっそう恋しくなる時期です。冬の入口にふさわしく、ほっこりとした甘みや濃厚な旨みが楽しめる食材が多く登場します。身体の内側から季節を感じる、滋味豊かな旬の味覚をご紹介します。
野菜|白菜(はくさい)
冬の鍋料理に欠かせない白菜は、寒さが増すほどに甘みを深める冬野菜の代表格。特に霜にあたることで葉の糖度が上がり、旨みが際立ちます。11月から2月にかけてが旬で、やや冷涼な土地を好んで育つのが特徴です。
水分が多く、クセのない淡泊な味わいは、和洋中どの料理とも相性がよく、幅広く活躍します。選ぶときは、しっかりと巻きがあり、ずっしりと重みを感じるものがいいとされています。寒さの中でぎゅっと育った白菜は、冬の滋味をたっぷりと湛えています。
魚|クエ
秋から春にかけて旬を迎えるクエは、「鍋の王様」とも呼ばれる高級魚。体長1メートルを超える大物になるほど、身の締まりと旨みが際立ちます。漁獲量が限られており、全国的にも希少であることから「幻の魚」とも称される存在です。ハタ類の中でもとりわけ美味とされ、刺身や洗い、そして何より「クエ鍋」として親しまれています。淡泊ながら奥行きのある上品な味わいの白身は、じんわりと広がる旨みが格別。身はふっくらとし、皮やアラからは濃厚な出汁が取れるため、鍋物にするとその真価を発揮します。
冬の寒さが深まる季節にこそ味わいたい一品です。特別な日のご馳走として、食卓に華を添えてくれることでしょう。
京菓子|焚き火
晩秋、落葉を箒(ほうき)で集め、静かに火を入れる夕暮れの焚き火。その情景を写し取ったのが、京菓子の『焚き火』です。『茶寮 宝泉』の「焚き火」は、白餡に米粉や卵黄を混ぜて色づけした生地で、なめらかなこし餡を包み込んだ生菓子。仕上げには、こし餡を粉状にして乾燥させた「さらし餡」をまぶし、蒸籠(せいろ)でふっくらと蒸し上げます。蒸し上がった表面には、焚き火の火のゆらぎのような自然なひび割れが生まれ、香ばしいお茶の葉を添えて、鉄板でさっと天焼きして完成します。このように作られる生菓子は「黄身時雨」(きみしぐれ)と呼ばれ、ほろりと崩れる繊細な口溶けと、お茶の葉の芳ばしい香りが特徴です。秋から冬へと移ろうこの時期、ぜひ一度味わってみたい、風情あふれる和菓子です。
「ボジョレーヌーボー」
ボジョレーヌーボーとは、フランスのボジョレー地区でその年に収穫したぶどうを醸造したワインのことです。解禁日は11月の第3木曜日と決められているため、ワイン好きの人々の間では0時を過ぎると新酒を味わうパーティーが開かれることもあります。
ボジョレーヌーボーの解禁日自体は小雪の前の立冬ですが、実際にフレンチレストランなどで味わえるのは立冬から小雪にかけてになります。天候などによって味わいが大きく変わるため、その年の味を楽しんでみてはいかがでしょうか。なお、本来赤ワインは冷やすと渋みが増すため常温で飲みますが、ボジョレーヌーボーは渋みが穏やかなため、少し冷やすほうがおいしいとされています。冷蔵庫で1時間ほど冷やし、料理にあわせてみてはいかがでしょうか。
まとめ
冬の始まりを告げる「小雪」は、ほんのり雪の気配を感じながらも、まだ秋の面影が残る時期。紅葉が地を彩り、野の花がひっそりと咲き、旬の食材が食卓をにぎわせる、季節の繊細な変わり目でもあります。
自然の移ろいに寄り添いながら、古くから続く祭礼や和菓子を通して、日々の暮らしの中に「季節を愛でる心」を取り戻してみませんか。次の節気「大雪」に向けて、ほんの少しだけ冬支度を始めるにも、ぴったりの頃合いです。
「寒暖の差が激しい季節!体調管理に努めよう」
日中は過ごしやすい気候ですが、朝夕の冷え込みは厳しくなります。風邪などをひきやすい時期でもあるため、体調管理に努めていきましょう。
「小雪(しょうせつ) の頃の風習や行事、お歳暮の由来やマナー」
黄金色に染まった木々の葉も枯れ、木枯らしに舞い落ちる頃。
「落ち葉」や「枯葉」は晩秋をイメージするけれど、俳句の世界では冬の季語。
落ち葉を集め、焚き木を囲み、暖をとる、そんな光景は見当たらなくなったとはいうものの、季節は小雪(しょうせつ)。山間はうっすらと雪化粧、街にも初雪の便りが届きます。
小雪(しょうせつ)は二十四節気の20番目。
現在の定気法では太陽黄経が240度のとき。
2025年の小雪は、11月22日(土)、および大雪(12月7日の前日)までの期間をいいます。
『暦便覧』では「冷ゆるが故に雨も雪と也てくだるが故也」
小雪とはわずかな雪の意、冷え込みも厳しくなり、雨も雪となって降る頃をいいます。
「12月の呼び名」
小雪の後半はいよいよ今年の最終月。
12月を「師走(しわす)」と言う事は広く知られていますが、それ以外にも12月には幾つもの呼び名があることをご存知でしょうか。
梅初月(うめはつづき)梅が咲き始める月
三冬月(みふゆづき) 冬の三番目の月(旧暦での冬は10月・11月・12月)
春待月(はるまちづき)次に来る春を待つ月
晩冬(ばんとう)遅い冬の月
歳極月(としはすづき)一年の最後の月
そして
師走(しわす)師が忙しく走り回る、年の瀬の月
「小春日和」
小雪の頃に吹く風は「木枯らし」。この頃、逆に風のない穏やかな日を「小春日和」、晩秋から初冬にかけての、暖かく穏やかな晴天の日をいいます。
小春の頃の穏やかな空は「小春空」、穏やかな海の凪を「小春凪」といいます。
「越冬野菜」
地方では越冬野菜を取り入れる頃。大根や柿など、干し野菜として吊るしたり、土の中に保存したり、本格的な冬の準備が始まります。北海道・東北など雪が深い地域では、野菜も種類のよっては雪の中に貯蔵、または雪に埋もれた畑の中で穫り入れずにおきます。そうすることで甘味も増した新鮮野菜を味わうことができるようになります。主な青果物はキャベツ、ニンジン、ジャガイモ、ダイコン、ゴボウなど。





























