Nicotto Town



曖昧な季節の過ごし方

いつもの散歩道
道端の猫じゃらしがお辞儀をしてきた
「エッヘン」
なんだか王様になった気分だ

見上げればうろこ雲が
気持ちよさそうに大海を泳いでる

優しい秋の風に木々は揺れ
モミジは少し恥ずかしそうに頰を染める

ガタンゴトン ガタンゴトン
遠くで聞こえる電車の音
キーキー キーキー
夕方5時のサイレンが鳴って
誰もいなくなった公園のブランコが鳴っている
ベンチには置いてけぼりにされた赤いリボンのついた帽子
みんなカラスと一緒に帰ったのかな

山の端が茜がかって
完全に暗くなる前の風の匂いが好き

日が暮れて
ぼんやりとしていた陰と陽の境界線が
だんだんと闇に混ざっていく

次第に月の呼びかけに星たちが顔を出してきて
静かな中にコオロギの鳴き声が心地よいメロディを奏でる

やや霞みがかった月を眺め
明日の天気を思いながら
長い夜は更けていく

#日記広場:小説/詩




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