曖昧な季節の過ごし方
- カテゴリ:小説/詩
- 2025/12/24 20:43:22
いつもの散歩道
道端の猫じゃらしがお辞儀をしてきた
「エッヘン」
なんだか王様になった気分だ
見上げればうろこ雲が
気持ちよさそうに大海を泳いでる
優しい秋の風に木々は揺れ
モミジは少し恥ずかしそうに頰を染める
ガタンゴトン ガタンゴトン
遠くで聞こえる電車の音
キーキー キーキー
夕方5時のサイレンが鳴って
誰もいなくなった公園のブランコが鳴っている
ベンチには置いてけぼりにされた赤いリボンのついた帽子
みんなカラスと一緒に帰ったのかな
山の端が茜がかって
完全に暗くなる前の風の匂いが好き
日が暮れて
ぼんやりとしていた陰と陽の境界線が
だんだんと闇に混ざっていく
次第に月の呼びかけに星たちが顔を出してきて
静かな中にコオロギの鳴き声が心地よいメロディを奏でる
やや霞みがかった月を眺め
明日の天気を思いながら
長い夜は更けていく



























