首相のSNS発信 情報発信の多様性で尊重すべき
- カテゴリ:ニュース
- 2025/12/23 23:22:18
高市首相、就任2カ月 取材対応よりSNS発信重視 不都合な情報、伝えぬ恐れも (北海道新聞)
https://news.yahoo.co.jp/articles/4f69c686775619f67f7beb03218bae4da1dcbd36
政治家のSNSや動画による発信は、現代における情報発信の多様性の一つであり、本来であれば新聞やテレビこそ歓迎すべきものだと考えます。メディア自身が社会の多様性を尊重し、差別や排除をなくすべきだと主張している以上、情報発信の多様性を否定することは、メディアが掲げる理念と矛盾する姿勢だと言わざるを得ません。
近年、政治家の発言をめぐる報道では、切り取りや文脈の省略、印象操作的な編集が問題視されています。限られた放送時間や紙面の制約の中で情報を簡略化する必要があるとはいえ、発言の一部だけが強調され、本来の意図とは異なる印象が国民に伝わってしまうケースが少なくありません。
新聞社やテレビ局にはそれぞれ編集方針があり、その方針が報道内容や論調に反映されることは避けられません。さらに、記者個人の価値観や主観が、質問の仕方や記事の構成に影響を与えることもあります。また、特定のテーマが過剰に扱われたり、逆に重要な問題がほとんど報じられなかったりする「報道しない自由」も指摘されています。
こうした要素が重なることで、政治家の発言そのものよりも、メディアが付与した評価や解釈が先行して伝わり、国民が一次情報に触れる機会が制限されてしまう現状があります。
こうした状況の中で、政治家がメディアのフィルターを介さずにSNSや動画配信を通じて自らの言葉を直接国民に届けることには大きな意義があります。政治家の直接発信は、民主主義を弱めるものではなく、国民がより多くの情報に触れ、自ら判断するための選択肢を広げるものです。
国会議員や地方議員、首長がSNSやYouTubeを活用して政策や行政の状況を説明している例が増えているように、国政のトップである総理大臣が同様の手段を用いることは、時代に即した行為だと言えます。
知らない人もいるかもしれませんが、時間を遡れば2001年の小泉政権時代には無料のメールマガジン「首相官邸メールマガジン」の配信が開始され、総理のメッセージなどを配信していました。メールマガジンは小泉政権以降の政権にも引き継がれ、約20年間配信されてきましたが、2021年秋にひっそりと終了し、現在はX(旧ツイッター)やInstagram、LINEなどの官邸アカウントに役割が引き継がれています。私も一時期「首相官邸メールマガジン」の購読者でした。
SNSであれば、文脈を含めた説明が可能ですし、双方向性が高いため、市民からのフィードバックを即時に得られ、政治参加を活性化させる効果があります。また、誤解が生じた際には即座に補足や訂正を行うこともできます。さらにテレビ離れが進む若い世代に対しても、政治家が自らの考えを届けやすくなるという利点があります。国民にとっても、メディアを介さず一次情報に触れられることは、政治理解の深化につながります。
政治家によるSNSなどを通じた直接的な情報発信は、現代社会において積極的に評価されるべきものだと言えるでしょう。
もちろん、SNS発信だけで十分というわけではなく、記者会見や国会質疑のような双方向の説明責任の場も不可欠です。しかし、政治家の直接発信を「メディア離れ」や「説明回避」と一面的に批判するのではなく、情報発信の多様化として前向きに捉える姿勢が求められます。むしろ、メディアが自ら掲げる「多様性の尊重」という理念を一貫して守るのであれば、政治家のSNS発信を排除するのではなく、共存しながら国民の知る権利をより豊かにする方向を模索すべきです。


























