【イベント】ソロキャンイベント Vol.13
- カテゴリ:自作小説
- 2025/12/23 22:18:14
目が覚めた。
カーテン越しに、スズメが鳴いてるのが聞こえる。
あたし… 何言っちゃったんだろうって、ふと昨夜のことが脳裏に駆け巡って。
優しい先輩
いつもあたしをフォローしてくれた先輩。
失敗しちゃったのに、その責任を1人で背負って、それなのに何も告げなかったひと。
想像以上の先輩…
でもあたしさあ… ん…
その、先輩の腕の中で、つい言っちゃったんだよね…マジ最低なオンナだ(-_-;)
彼に振られたってさ…
「最近、仕事忙しそうだな…」
彼はちょっと困ったように微笑んで、此方のグラスにワインを注いでくれる。
優しいんだね。 キミ。
久しぶりに2人で食事。
駅前にある、やや隠れ家的なイタリアンのお店に、あたしと彼は2人で来てて。
ちょっと高めのワインと、洒落たフルコースの料理が、目の前。
「これ うまいね」
「うん…」
「ワイン、飲む?」
「あ… うん…」
あたしの生返事に、彼も気付いてたんだと思うんだ。
ほんと、隠せない子だって自覚はあるの。
バカなんだほんと、自分がイヤになる…
「オマエさ…」
彼は、ボトルに残ったワインを交互に注ぎながら、あたしの目を見つめてきて、寂しそうな顔ですこしだけ笑ってさ
「うん?」
「俺じゃない誰か、他のオトコを、好きになったりしてない?」
ど真ん中。
ん ホント直球でど真ん中通してくるよね?
ねぇねぇ キミ。
テレパス?
彼とは、学生時代から何年も付き合ってるんだ。
お互いのことは、けっこ分かりあえてるつもりなの。
初めて、2人で行った居酒屋
友達に内緒で、2人で行ったディズニー
そして、初めて2人で行った初詣… おみくじは「吉」だったよね。
とっても大切な、宝物のような思い出なんだよ。
でも、でもさ
ごめんなさい…
アナタに伝えられない感情が、今ここにあるんだ。
アナタの気持ちに応えられなくなってるあたしがいるんだ…
「分かったよ」
「……」
「じゃ、俺から言うさ」
「…え?」
「これが 俺の最後の優しさだから、胸いっぱいに受け止めろ…な?」
目が覚めて、ベッドに起き直ったまま、あたしはこの1年の出来事を思い出してみる。
なんだろ…
すっごい年上なのに
おっさんなのに
そんな男前でもないのに
背だって、170くらいしかないのに…
あたしのこと、めっちゃ子ども扱いしてるヤツなのに…
先輩のことしか、頭の中には 思い浮かばないんだ…
これって?
これって?
スマホを手にして、立ち上がるとそのままダッシュで外に出ちゃった。
なんだろ?
謝らなきゃ
説明しなきゃ
彼と、そして先輩と その優しさに甘えきってたことに気付いたんだよ。
ダメなオンナだ…
バカなオンナだ…
あたしは、夢中で駆けだしてた。
(続く
その思いが、胸をいっぱい駆け巡ってきたんだ。
先輩… 先輩…
その思いだけがあたしを突き動かしてたってのは、自分でもわかるんだよ。


























