夢 キアヌ編
- カテゴリ:子育て
- 2025/12/19 20:15:21
「おとしゃんとぉ、おかしゃんとぉ、おばぁちゃんとぉ、ボクがうんてんするでんしゃでぇ、えっと、つれていくのです」
我々はどこへ連れて行かれるのだろうか?
そんな野暮な事を聞いてはいけません。
「そっかぁ、はやくキアヌくんの運転する電車の乗りたいなぁ!」
そんな可愛かったキアヌも、もうキアヌくんなどと呼べませぬ。
彼の身長は、まるでアンドレ・ザ・ジャイアントのようであります。
見上げるようにしなければ、話しすらできません。
そして、変わってしまったのは、体格だけではない。
すっかりと鉄分も抜けてしまい、今では鉄道には興味が無くなってしまいました。
中学までは、それでも鉄道に興味を持っていました。
しかし、ニュースなどで取り上げられている撮り鉄の不祥事。
そしてオタク気質の彼らを見て反面教師になってしまったようです。
高校時代、彼は勉強に励み、同学年では五本の指に入る成績。
「一度てっぺん取ってみろよ」
という父の言葉に
「いや、ひとり化け物がおるから無理」
と、あっけないお返事。
それでも、理系のかなり難関な大学の推薦を勝ち取り、一度ダブったものの来年の春には無事卒業見込みとなりました。
そうなると、今度は就職であります。
就職率の高い大学だったようで、彼は今年の夏から活動を開始し、数々の内定を勝ち取ったのです。
コレクターかっ!
職種的には、SEをやってみたいと息子。
「最後にさ、もう一社受けてみようと思うんだけど、あまり行く気にはなれないんだけど、良いかな?」
「そか、ま、どうなるかわからんし、可能性だな」
そして、その一社を受けて何やら悩みだす息子。
その会社は、親会社こそ国内最王手の巨大企業ですが、息子の受けた会社は関東だけを基盤に業務展開する企業。
しかし、関東では知らない人は居ないほどの知名度を誇っています。
「父さん、僕、最後の所に決めようと思うんだけど、どうかな?」
「君が選んだ道だ、父さんは君を支持する」
彼が選択した会社は、なんと神奈川県を主とする地域の人々の足となる、私鉄だったのです。
子供の頃に夢見た、運転手ではなかったけれど、彼が管理運営するシステムで人々が安心、安全に暮らす事が出来る仕事。
成長と共に変わっていった彼の夢
そして遠回りして、様々な知識と希望を得ながら、少年の頃に見た場所に帰ってきた。
随分昔に、ここの日記に書いた事。
いつか息子が私を超えた時、きっと私は涙するんだろう、と。
でも、父はまだ泣かないぜ。
だから、遠慮はいらぬ
超えて行け



























