Nicotto Town


あなたに会えてよかった♪


【イベント】ソロキャンイベント Vol.10

「なーんか… もう煮詰まっちゃいましたよ…」
時計はもう、夜の10時になろうとしていて。
照明の落ちた執務室には、椅子に浅く腰掛けて背伸びしている俺と、パソコン画面に映るボツ企画の案を見ながら落ち込む後輩女子の2人だけ。

「悪いな でも失敗すると分かってる企画を、俺も上にあげることはできないからそれは分かってくれ」
俺もやや沈んだ気持ちで答えてみる。

後輩女子が、先日ひらめいたセンで企画を組んできたんだけど、

俺ね
やっぱそれにGOサインは出せなかったんだ。

キャンパーってのは、案外幅広いんだけど、でもやっぱりニッチな分だけあって保守的なんだよね。
お互いの Win Win になれるようなイベントって、やはり無理があるってのはどっかで俺も気付いてたんだよ。


窓の外は、7月下旬の淀んだような、それでいてじめっとした蒸し暑さを現したような、湿った光を漂わせている。

俺も彼女も、無言のまま。
重苦しい時間だけが、ゆっくりと流れていく。


「困ったときは、初心に帰れっていうんだけどな…」
沈黙にやや耐えかねたんだろうな。
何気なく言ってみたんだ。

後輩女子、ふと顔を上げて
「先輩…今 なんて?」

俺はちょっと慌てて
「いや… 初心に帰れって そう思ったんだけど…」

「それですよ先輩!」

「ぇ?」

「それなんですよっ! もともとの企画は『ソロキャン』だったじゃないですか!
それを集客に寄せて、ファミキャンも対象に入れちゃったって… それがそもそもの間違いだったんじゃないですか!」


なるほど
それはそうかもしれない。

ニッチな企画にやや及び腰になってしまって、総花的な企画にぶれてしまったのかもしれないなって、俺も思い直してさ。


「ソロキャンと、ソロ車中泊のターゲットって、結構幅広いんじゃないでしょうか…
だから先輩も、私の企画にイマイチ納得できなかったっていうか、原点にもどってみてもいいんぢゃないでしょうか?」


「そうだな、だったらイベント案として、ソロキャンや車中泊で有名なyoutuberに声かけて、なんか講習会とか講演会とかみたいなのも入れ込んでもいいな」
俺も思いつきを口にしてみた。

「それですよ先輩! youtuberなら案件にも反応してくるかもですし、こうゆうターゲットなら、youtubeめちゃ見てそうですもん!」

一気に元気が出た彼女を見て、俺も

「分かった。俺のほうでソロキャンや車中泊youtuberに提案してみる。利益計算とかはオマエに任せるっ」

あっという間に企画が進み始めたんだ。

コレが、俺にとってのこの部署での最後の仕事になるんだろうな。ってそう思うと何だか胸がいっぱいになってくる。
コイツに成功体験をさせてやりたい。

俺はそう思って、心当たりのyoutuberへアクセスするためにデスクに戻ったんだ。

「せんぱーい! 今日もてっぺん(深夜12時)になっちゃいますねっ!」
笑ってるな。後輩女子。

これで勝負だ。
企画は任せた。

役員には、俺が全力で説得してやる。
頑張れよ…

そう思いながら、パソコンのキーボード叩く彼女の後姿に、笑顔の視線を向けてみたんだ。

それから1週間。
ソロキャンや車中泊で有名なYoutuberにコンタクトを取り、賛同してくれる人に強力を申し込んでみた。
案外、彼ら(女性もいたが)は乗り気になってね。
数名が、(商売抜きで)協力を約束してくれたのは望外の喜びだw

さぁ 勝負だ!

(続く 

#日記広場:自作小説

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2025/11/18 07:26
この部署での最後の企画、後輩ちゃんに成功させてあげたいですね。
失敗は成功のもと!!かな?!




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