Nicotto Town



カーテンコール

物語のおわりにもう一度ビロードの幕が上がり

登場人物たちが舞台に並ぶ。

今回の出演者は‥ わたしだけ‥

ながいながい一人芝居を延々と続けて来たけど、もうおしまい。



ひょっとして、わたしって。

悲劇のヒロインにでもなりたかったの?

可哀そうな恋物語の哀れな主人公でも演じたかったの?

てゆうか、まさか、わざと?

それって究極のナルシスト? 滑稽^^

それじゃあ誰も感情移入できないよ?

そんな、くだらないお芝居‥

見てて笑えるだけだから。

ああ、この歓声‥。

そうか、そうだったんだ‥

この拍手は、この喝采は、讃えてるんじゃない。

‥哀れんでるんだ‥

こんなお芝居を続けて来たわたしに対する

せめてものねぎらい‥

せめて‥潔く‥「終わりよ。さあ、舞台を降りなさい」ってゆう。

闇に浮かぶ漆黒の観客席に向かって、わたしは深々とお辞儀をした。

‥やがて、ゆっくりと、スルスルと、幕が下りてきて‥

‥一つ、また一つ、スポットライトも消え‥

波のようにさざめくカーテンコールの余韻を聴きながら、段を降りた。

舞台袖から控室までの通路には、もう

‥自分の靴音しか聞こえない。ここは、独りぼっちの冷たい世界。




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