【イベント】ソロキャンイベント Vol.5
- カテゴリ:自作小説
- 2025/10/29 22:15:46
「どうですか?」
「…」
「ですからっ どうですか?」
後輩女子が、普段見せない真剣な表情になって俺を見てる。
「…」
3回目の書き直した企画書。
もう、事務所の時計は夜の10時を過ぎようとしていたんだ。
「ファミキャンとソロキャンの接点なんだけどな…」
ごくり、の表情になった彼女。
「いいんじゃね?」
確かにいいんだ。
ファミキャンにベテランでもあるソロキャンメンバーが、火を熾す方法や、テント設営についての注意事項を伝えるんだけど、これをソロメンバー有志全員でやる。そのかわりファミキャンは、ソロキャンメンバーにイベントでお返しをする。
そのイベントってのが…
『設営のお手伝い』
なんだよね。
ソロって、テントやら焚き火台やらの設営を一人でやるんだけど、それって案外時間がかかるんだ。
もちろん、それを楽しみにしてるキャンパーも多いんだけど、特に女性ソロキャンパーは、やや手間だって思ってる人も多い。テント設営なんて、複数でやらないと
(いや、かく言う俺も『めんどーだなあ…』って思ってるんだけどね)けっこ大変だったりするんだ。
もちろんソロキャンパーのリクエスト優先なんだけどね。これってかなりニーズが高いように思う。
しかもファミキャンは、子供たちが喜んでテント設営とか手伝いながら、ソロの連中からいろいろなコツなんかも実地で学べるし。
「あとは…時期だけど…」
「はい…」
「夏休みを外して、秋の連休に絞ったのがいいな」
後輩女子、ぱあぁぁぁぁっと雹用が一気に明るくなったんだよ。
「でしょ?夏場は暑いし、冷房効かないキャンプはさすがに厳しいですもんねっ!」
「あはは それもあるが…」
「はい…?」
「秋は、夏に比べて 夜が長いんだ」
後輩女子、がっくりきて
「当たり前じゃないですかっ!」
俺は慌てて手を振って
「夜が長いってことは、日が落ちるのが早いってことだ。てことは…?」
はっとした表情の後輩女子。
このへんの察しの良さが、彼女のいいとこなんだよな。
「夜にイベントができるってことですよね!」
「そうだよ。星空観賞やナイトコンサート、キャンプファイヤーなんかが早い時間でできるだろ。そのあとにファミキャンもソロキャンも、思い思いの時間が楽しめるってことさ」
めっちゃ笑ってるやんw
オマエ やっぱり分かりやすいなw
「先輩っ!ありがとうございます!この方向でキッチリ企画詰めていきますっ!」
まあ、まだまだ甘いんだけどね この企画。
でも、彼女の熱意に…負けちゃたのかな。
俺は、パソコンの画面を消して、立ち上がって
「じゃ、この企画はまた明日に…」
後輩女子は、頷いてこっちを見て
「わかりました!お疲れ様でした!」
「あの…先輩?」
デスクを片し、バッグを背負った俺の背後から声が飛んできた。
「なんだ?」
「…」
「だからぁ なんだって?」
「このあと、飲みに行きません?」
(オマエ、未成年だろうーが…)
(続く





























社員さんの育て方がすごくお上手って思っちゃった。
いい関係ですね。
もちろん、呑みに行ったのよね?!